子育てを難しくする「強い親でいること」への呪縛 がんばるのはもうやめて、もっと弱音を吐こう
校長時代にたくさんのお母さんと言葉を交わしました。苦しんでいるお母さんほど「がんばらなくちゃいけない」「いいお母さんにならなくちゃいけない」と思い込んでいました。 「この子を守らなくちゃいけない。そのために自分で考えて行動しよう」というのと、「この子を守らなくちゃいけない。そのために、自分は鉄よりも強くならなくちゃいけない」というのは、ぜんぜん違うと思います。 「強くならなくちゃいけない」と思っているお母さんは、いつまでも強くなれないから、どこかでポキっと折れるんです。
「強くならなくちゃ」と思い続けているときは、ずっと空気を吸い続けている状態です。だから、ものすごくがんばっているのに、息が吸えなくなってしまうんです。 そんなお母さんに言えることは「がんばるの、やめなさい」ってことだけ。そうしたら、息が吐けます。そして、弱音も吐けます。 ■弱音を吐いたら、周りが変わる 周囲に頼られて、「自分がしっかりしなくちゃ」「がんばらなくちゃ」と思っていると、誰にも弱音が吐けないときがあります。
教員時代(校長になる前)の私自身が、まさにそうでした。 校長や教頭は頼りにできませんでしたし、逆に同僚の教師たちはみんな自分を頼っていましたから、しんどくても、そう言えなかったのです。「しんどい」「つらい」なんてこぼしたら、みんなに信頼されなくなるんじゃないかと不安でした。 でも、初めて校長になったとき、弱音を吐ける人になろうと、自分をアップデートしたんです。 「子どもに『くそばばぁ』って言われた……」
「失敗しちゃったらどうしよう?」 校長自らが率先して、誰よりも一番に、弱音を吐きまくったんです。 そうしたら、変化が起こりました。周囲の先生たちも、弱音を吐くようになったんです。 少しずつ、職員室が、弱音を吐ける場所になりました。そうしたら、誰も一人ぼっちにならなくなりました。 「困ったことがあれば、ここに来て言えばいい」──そんな雰囲気になったら、困り感を抱えた子どもたちが、次から次へと「助けて!」って、職員室に飛び込んでくるようになったんです。