軍艦島元島民、NHKに謝罪と検証番組要求 韓国で教科書にも使用 「炭坑内との確認得られていない」と認め調停成立
長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)の元島民で作る「真実の歴史を追求する端島島民の会」は9日、NHKが軍艦島を取り上げた番組「緑なき島」について同坑内の映像であるという確認が得られていないと認めたことを受けて記者会見を開いた。元島民は「NHKは島民にも日本国民にも謝罪すべきだ」と述べ、検証番組制作を求めた。 【画像】NHKの放送内容と「実際の坑内」を比較した資料 1955年放送の同番組で使われた坑内の映像は、韓国で戦時中に朝鮮半島出身者が軍艦島で劣悪な環境下で強制労働をさせられた証拠の一つとして利用され、韓国の高校のデジタル教科書にも資料として使われた。 だが、島民の会は端島炭坑ではないとNHKに抗議し、昨年1月に東京簡裁に調停を申し立てていた。 同年12月に成立した調停でNHKは①作業員全員がヘルメットに照明灯を付けていない場面②坑道内で裸電球を使用している場面―の映像について「端島炭坑内で撮影されたものであるという確認が得られていない」と認めた。 島民の会の中村陽一幹事長(86)は「調停は成立したが、(NHKが)謝罪をしていないことは残念」と述べた。 同番組の映像について「事実の改竄(かいざん)が行われた」と主張してきた一般財団法人「産業遺産国民会議」の加藤康子専務理事も「NHKは真実ではないことを拡散してしまったことに対して誠意をもって島民、国民に向き合うべきだ」と強調した。 NHKは9日、夕刊フジの取材に「調停の内容は、2021年にNHKが行った調査の結果で『端島炭坑以外のものであるとの結論に至らなかった』とする見解と何ら変わるものではありません」と文書で回答した。