裏金問題への怒りもあるけれど、物価高騰や地域間格差はもっと切実…衆院解散で地方からは「暮らしの底上げ」望む声が相次ぐ
衆院が9日解散され、戦後最も短い首相就任26日後の投開票となる選挙戦が事実上幕を開けた。裏金問題に対して怒りや諦めが広がる中、物価高騰や地域の疲弊など課題が山積する鹿児島県内では、地方の実情に即した政策を望む声が上がる。有権者は未来を託す候補者をどう見極めるのか。 日本初の衆院解散「伝家の宝刀」抜いたのは薩摩出身・松方正義 同郷の大臣暴言引き金に議会空転 「もはや時機切迫に立ち至り最後の手段を」…書簡ににじむ苦渋の決意 黎明館に展示中
「米まで値上がりしたのは大きい」。枕崎市の無職男性(72)は、物価高の暮らしへの影響を重く受け止める。「裏金をもらった国会議員は、それに対する税金も払っていない。国民の怒りは当然だ」。一部の裏金議員の非公認や重複立候補を認めない石破茂首相の判断を評価し「自民のまっとうな議員は、とばっちりを受けたくない気持ちがあるのでは」と推し量る。 大崎町の農業男性(42)は京都府出身で阪神淡路大震災を経験。今年8月には、同町で震度5強を観測した日向灘地震と台風の被害に遭った。「能登半島の人たちは選挙どころではない。『防災庁』設置や被災地訪問もパフォーマンスに見えてしまう」。 ピーマン栽培を始めて16年目。重油は倍近く値上がりし、肥料や電気代も高騰している。「所得や世代で分断せず産業や暮らし全体の底上げを」と注文する。 いちき串木野市の看護師女性(52)は政治とカネの問題に諦めを感じながらも、地域間格差の是正を願う。「最低賃金に差があり、地方に人が集まらなくなる。地域のいいところを生かし、活性化する政治を実現してほしい」と話す。
鹿児島市の女子大学生(21)は、気候変動に対する取り組みとしてエコバッグ持参や冷暖房の適切な温度設定を心がける。「目の前の課題だけでなく将来の世代に影響が出るような問題についても財源や誰が担うのか、議論してほしい」と望んだ。
南日本新聞 | 鹿児島