車内で発行など行政サービス 和歌山県内初の多機能車導入、すさみ町
住んでいる地域や身体的な状況、移動手段の有無などによる行政サービスの格差を少しでもなくそうと、和歌山県すさみ町は、役場窓口や投票所など、さまざまな機能を搭載した「行政MaaS(マルチタスク)車両」を導入した。県内で初めて。 【開通予定 2年以上延期か 硬い岩やひび割れ対応、すさみ串本道路、和歌山の記事はこちら】 h 町は、高齢化率47%超(昨年8月末現在)と県内3番目に高く、人口密度の低い地域を多く抱えている。移動手段の確保が困難な町民が多く、等しい行政サービスを提供することが課題になっている。 本庁舎のほかに支所があるが、支所までの移動手段のない町民が、窓口で相談したり、病院で受診したりすることが年々厳しくなっている。 また、町では、南海トラフ地震による被災も想定されており、有事に備えた防災訓練の定期的な実施や罹災(りさい)証明の発行なども課題になっている。 これらの課題解決を目指して導入した車両は、オンラインで相談、証明書発行、マイナンバーカード申請受け付け、罹災証明申請などが可能。町は今後、巡回診療、期日前投票、スマホ教室、津波避難訓練でのドローンの運搬といった活用を考えている。 車内は役割に応じてレイアウト変更が可能。事業費は約2千万円で、内閣府デジタル田園都市国家構想推進交付金を約半分充てた。 この車両を開発したモネテクノロジーズ(東京都)によると、福島県いわき市や愛媛県今治市など主に合併で面積が広くなった約20の自治体が、すでにこの車両を導入しているという。 18日、同町で車両のお披露目会があり、職員が同社社員らから説明を受けた。 岩田勉町長は「町民の希望をいかにして実現していくかを考えているが、今回の車がその一つになるのではないかと思う。平時、有事と活用方法をしっかりと検討していきたい」と話した。
紀伊民報