2024年度の青森県産ホタテガイ、平成以降最低の水揚げ量か 全盛期の3分の1以下、昨夏猛暑の大量死響く
青森県漁連を通じた2024年度の県産ホタテガイの水揚げ量が3万トン程度となり、全盛期の3分の1以下に落ち込む見通しであることが23日、分かった。23年夏の猛暑による陸奥湾の高水温で稚貝が大量死したことが主な要因。養殖技術が確立してからはほとんど見られなかった低い水準で、平成以降では最低の水揚げ量という。 県漁連の24年度の事業計画では全体で3万5千トンの水揚げを予定していたが、10月末時点の水揚げ実績は前年同月比43%減の計2万9195トン。11月以降も年末にかけてのお歳暮用や欧州連合(EU)向けの水揚げが一定数は見込まれるものの、既に水揚げ最盛期を終えて大きな伸びは期待できず、全体で3万トンを超えるかは微妙な状況だ。 品目別では、主力である半成貝が前年同月比44%減の2万1664トン。耳づりは同39%減の6069トン、籠は同46%減の1235トンと軒並み減少した。 一方、水揚げ金額は10月末時点で同35%減の81億7706万円。水揚げ量の激減で単価が例年にないほど高騰したが、今年の水揚げの大幅な減少を補うには至っていない。ただ、県漁連が本年度通算で計画していた66億6846万円は既に大きく上回っている。 県漁連ほたて課の齊藤英司課長は取材に「ある程度悪い数字は想定していたがまさかここまでとは。ホタテの養殖もほかの漁業と同じく自然が相手で仕方ない部分もあるが、高水温や採苗不振など悪条件が重なってしまった」と語った。 県が毎年まとめている海面漁業調査結果によると、水揚げ量と水揚げ金額の記録が残っている1981年以降で、県産ホタテの水揚げが3万トン台に落ち込んだのは81年と2011年の2年のみ。対象期間が異なったり各漁協の直販などを含んだりするため単純比較はできないが、県漁連の取りまとめと同じく平成以降最低の水揚げとなる可能性が高い。 こうした厳しい状況下、県は今月、県産養殖ホタテの安定生産と成長産業化に向けた「総合戦略」(24~34年度)を初めて策定。年間の水揚げ量8万トン、水揚げ金額100億~150億円を維持できる体制を確立し、10年後に加工を含めて300億円規模の産業を目指す-とした。 県水産振興課の種市正之課長は取材に「陸奥湾ホタテの養殖は親貝不足による採苗不振や高水温被害などさまざまな課題を抱えているが、一朝一夕で解決できるものではない。総合戦略に基づき関係機関と連携して生産高度化や経営力強化、販売促進に取り組む」と話した。