米国債の高利回り、機にめざとい投資家呼び込む-ショート主流でも
(ブルームバーグ): 米国債市場全体でネガティブな心理がなお根強いものの、昨年11月以来の高水準に達した米国債利回りが機にめざとい一部の買い手を呼び込み始めている。
JPモルガン・チェースの最新顧客調査によると、15日時点で投資家の米国債ネットロングはこの3週間で最大となった。
一方、オプション市場では、トレーダーは少なくとも一部の弱気ポジションを解消する方向に傾いているように見受けられた。米2年債利回りが急上昇して一時5%に達したことで、利益確定の動きがあったかもしれない。
中東情勢の緊迫化も米国債の安全性に一役買っている可能性があるが、相場回復につなげるには力不足のようだ。
米国債ショートへの傾斜、CPI発表後にスクイーズの恐れ
米国債相場は今月これまで低迷し、利回りは急上昇している。引き続き力強い経済と根強いインフレを示すデータを受け、市場で利下げ観測が大幅に後退した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は16日、力強い経済指標を受け金利据え置きが長期化する可能性が高いとの認識を示し、相場低迷に拍車をかけた。
パウエルFRB議長、利下げ開始の先延ばし示唆-インフレ根強く
米国債市場に根強いネガティブなトーンは、2年債先物の建玉動向における弱気ポジション構築の規模で見て取れる。利回り上昇を背景に過去14営業日のうち13日で、清算よりも新規のポジションが目立った。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のメガン・スワイバー氏らストラテジストは15日のリポートで、「先物ポジションは、特に短期で金利が上昇に傾斜していることを示唆している」とし、商品投資顧問業者(CTA)もショートポジションをより長期物に分散し始めていると分析した。
JPモルガンの調査は最近の一部押し目買いを示しているが、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータは異なる状況を示唆。2月初め以降のCFTCデータでは、直近の4月9日終了週を含め、過去10週のうち8週で資産運用会社のネットロングが減少した。