<52年ぶり春・宮崎商>支える人々/中 先輩コーチ 「甲子園」最大限注入 /宮崎
2月末の宮崎商野球部専用グラウンド。夜間照明がともる中、練習を締める石ころ拾いを男性2人が見守っていた。共に宮崎市在住のOBで会社員の黒木聖也さん(29)と農家の池田幸平さん(30)。コーチとしてチームを支えてきた。 2人は橋口光朗・現監督(32)の後輩で2008年夏の甲子園に出場した。主将で三塁手だった池田さんは、プロ野球ヤクルトに進んだエース・赤川克紀さんの同期で、44年ぶり甲子園1勝となった城北(熊本)戦、延長で惜敗した鹿児島実戦とも活躍。黒木さんは1学年下ながらベンチ入りした。当時、全日本大学野球選手権を22年ぶりに制した東洋大野球部員で、練習の手伝いに来た橋口監督と甲子園に響く校歌を体感した。 2人も東洋大に進み卒業後は立場や頻度を変えつつ、コーチとして後輩部員を支え続けた。池田さんは、橋口さんが私立都城東監督になった際はコーチに就任。宮崎商に橋口監督が戻ってからは2週間に1度、練習を見てきた。黒木さんも橋口監督が戻ってから外部コーチに就任。多くの時間を指導に充てた。 宮崎商の練習は3~4班に分かれる。一班が守備練習する間、他班はグラウンドの端で走り込みや素振り、筋トレに励むといった具合。コーチ2人は、黒木さんが主にノックなどメイン練習を、池田さんが筋トレなどサブ練習を担当。自主練にも夜遅くまで付き合う。2人が選手を直接指導するため、橋口監督は全体を見渡せる。 2人にとってもセンバツ決定は感慨深かった。黒木さんは「これまでが報われた気がする」、池田さんは「この子たちに甲子園での勝利を味わせたい」。20日の奈良・天理戦に向け、自らが持てる時間と経験を最大限注入し、選手を後押しする覚悟だ。