[24衆院選 現場から]おわび行脚「みそぎ」狙う…野党、自民批判票に照準
これに対し、阿久津を擁立した立民は政治とカネの問題に重点を置き、下村の支持基盤を切り崩そうと躍起だ。政治資金の問題があった他の選挙区と同様に、幹部を続々と投入している。
「私たち以上に、自民を真面目に応援してきた人ほど強く怒っている」
最高顧問の枝野幸男(60)は14日、区内での集会でこう呼びかけた。
阿久津は東京都知事も務めた石原慎太郎の秘書として働いた経験も生かし、政治資金の問題に敏感な保守系の無党派層に浸透する戦略をとる。15日夜には、「この選挙、何が問題なのかと言えばやっぱり裏金の問題だ。決着をつけるのは有権者、国民の力しかない。裏金議員にはお引き取りいただく」と訴えかけた。
日本維新の会の大豆生田実(58)も、保守系の批判票に照準を合わせている。15日に応援に駆けつけた維新代表の馬場伸幸(59)は「選挙が終わればすべて水に流れる。自民の裏金議員はそう思っているが、本当にそれでいいのか」と声を張り上げた。
共産党の伊波政昇(72)を含め、野党は「下村包囲網」を敷いている格好だ。もっとも、野党候補の乱立で批判票の受け皿は分散気味となっている。阿久津と下村の競り合いは激しさを増し、勝負の行方は予断を許さないのが実情だ。(敬称略)
(土居宏之、阿部雄太)