【ジブリ美術館】手描き背景美術が生み出す世界『君たちはどう生きるか』展
三鷹の森ジブリ美術館では、11月23日(土)より新企画展示『君たちはどう生きるか』展の第三部「背景美術編」が公開された。開催に先駆けて前日に行われた内覧会の様子をお伝えしよう。 【関連写真】ジブリの手描きの背景美術が生み出す美しい世界を見る(写真18枚) 宮崎駿監督の長編アニメーション『君たちはどう生きるか』は、その制作過程で描かれた絵のほとんどが紙に鉛筆と絵の具で描かれたものである。キャラクターに命を吹き込むのがアニメーション(作画)であるなら、そのキャラクターが生きる世界を生み出すのが背景美術。今回の企画展示は、手業と紙と絵具と水が混然となって生み出す光と影、豊かな色相の世界。そんな手描きの背景美術が生み出す世界が展示されている。 安西香月館長の話では、宮崎駿監督は、常々「アニメーション映画の品格は背景美術で決まる」と発言しているという。監督の絵コンテをもとに、キャラクターがどう生きるかを計算しながら舞台を描いていくのが「背景美術」とのこと。およそ7年の歳月を費やして制作された『君たちはどう生きるか』の背景美術は、比較的少数の美術スタッフによって描かれており、その技と芸術性の結晶が展示されている。 武重洋二美術監督は、『君たちはどう生きるか』の背景美術について宮崎駿監督から「いままで使っていた“緑”を使わないでほしい」と最初に言われたという。『となりのトトロ』や『もののけ姫』で描いてきた「瑞々しく、生き生きした緑」と違う緑を描いてほしいと指示を受け、そこからスタートした。その言葉を受けて「昭和19年の舞台設定で敗戦を翌年に迎えた日本では人々の身も心もパサついているだろう、少し乾いた風景だったり、鮮やかな緑というよりは少し渋めな緑を描きました」と語ってくれた。 以前から宮崎駿監督には「どこか見覚えのある風景にしてくれ」と言われており、武重さんは「自分が経験したこと、いろいろな映画などで観てきたもの」を総動員しながら描いていると教えてくれた。 本展の第三部「背景美術編」は、会期を当初予定の半年間から1年間に延長し、前期と後期で一部の展示背景美術を入れ替える。前期は2025年5月(予定)まで、後期は2025年5月~2025年11月(予定)を予定している。 三鷹の森ジブリ美術館の入場は日時指定の予約制なのでじっくり楽しむことができる。チケットは毎月10 日に「ローチケ」にて発売される。
アニメージュプラス 編集部