『GO HOME』戸次重幸の優しい微笑みが胸に迫る 最終回は杉本哲太との直接対決に
ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)は第9話、そして9月28日放送の最終話にて最終章へと突入する。その縦軸となっているのが、堀口(戸次重幸)である。 【写真】翔太を抱いている堀口(戸次重幸)と並んで歩く由理恵(星野真里) 不慮の死を遂げた堀口は、戸籍を偽って警察官になった全くの別人であることが葬儀会場での出来事をきっかけにして明らかになっていく。堀口の本名は、伊藤和宏。出生は山形県南陽市にあった。 36年前、和宏の父親が借金取り立て人を刺殺。そのことをきっかけに、和宏はショックを受けた上に、近所からのいじめから学校にも通えなくなってしまった。そんな和宏に親身になって寄り添ってくれたのが警察官の磯辺(モロ師岡)だった。やがて和宏は磯部のような警察官になりたいと思うようになるが、身内に犯罪者がいる人間は採用試験で弾かれてしまう。そこで磯辺の知り合いの公安・佐川(杉本哲太)が提案したのが、戸籍を変えて別人になること。和宏は、夢を叶えるために、伊藤和宏という名前を捨てて、堀口尚史として生きる自由な道を選んだのだった。 亡くなる直前に、堀口は母・啓子(朝加真由美)に手紙を出していた。そこに綴られていたのは、感謝の思いと戸籍を偽ったことへの後悔。「だからやり直すことに決めた」「本当のことを打ち明けて戦おうと思う」と、堀口は警察官という職を失ってでも、真実を話して、伊藤和宏に戻ることを決心していた。そう思わせてくれたのは、妻・由理恵(星野真里)と息子・翔太(白髭善)の存在、そして身元不明人相談室の面々にほかならない。 第9話で戸次重幸の出演は決して多くはないものの、すでに亡くなっているという立場からも、一つひとつの出演シーンが胸に迫るものがある。「母さん、俺、今すっごい幸せなんだ。」と締めくくられる母への手紙を書いていたのは相談室でのデスク。誰もいない職場を見渡し、堀口は優しく微笑む。由理恵と翔太が相談室を後にする時、桜(小芝風花)には堀口の姿が見えていた。堀口が身元不明人として捜査され、こうして幻となって登場するという予想だにしていなかった展開だが、愛する妻と息子に本当のことを伝えることができた堀口の表情は晴れやかにも見える。息子が夢見るのは、かつての堀口と同じ警察官だ。 同時に桜に向けて頷くのは、あとは任せたというようなサインにも見えてくる。桜や真(大島優子)たち、相談室のメンバーがやり残しているのは、佐川の不正を暴き、堀口の無念を晴らすこと。佐川は代議士・高山の汚職や暴力事件をもみ消しており、堀口の死因も高山と接触し、頭を強く打ったことが原因だった。 最終回は佐川との弔い合戦が中心になりそうだが、相談室を辞めることを桜に告げた真、その真と手嶋(阿部亮平)との恋愛模様、さらに第5話に登場した桜の命の恩人(尾美としのり)の身元も明らかになっていく。
渡辺彰浩