「課長になったのに昇給はわずかでした。部長になれば年収は上がるものですよね?」役職ごとの給与平均値を一覧で検証
この4月に課長に昇進して仕事量や責任が増えたにもかかわらず、「期待していたほど給与が上がらなかった」というケースもあるでしょう。 【一覧表】係長→課長→部長で賃金はどれだけ上がる?都道府県ごとの格差も そういった背景もあり、若い世代では昇進を望まない人も増えているのが現状です。 では、課長から部長に昇進すれば年収は大幅に上がるのでしょうか。 今回は、3月に公表された厚生労働省の最新版「令和5年賃金構造基本統計調査」を基に、役職別の平均賃金を検証していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
昇進したくない人の割合は5割以上
内閣府男女共同参画局の調査を基に、昇進に対する20歳代の時点での考え方を見てみましょう。 「いずれは管理職につきたいと思っている(いた)」という設問に、「当てはまらない」または「どちらかといえば当てはまらない」と回答した割合は以下の通りです。 <全体> ・男性:56.3% ・女性:82.2% <初職が正規雇用労働者> ・男性:52.2% ・女性:81.8% <初職が非正規雇用労働者> ・男性:74.7% ・女性:84.9% 全体で見ると、「当てはまらない」または「どちらかといえば当てはまらない」と回答した男性の割合は5割を超えており、女性に関しては8割を超えています。 仕事量と責任の増加を好まない傾向にあり、自分の時間が減ってしまうことにも抵抗があるようです。 昇進してもあまり賃金が上がらないのであれば、尚のことでしょう。 では、昇進によってどのくらい賃金が増えるのか、平均値を見てみましょう。
役職別の平均賃金
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」から、役職別の平均賃金を見てみましょう。 なお、下記の金額には時間外勤務手当や深夜勤務手当といった超過労働給与額が含まれていません。また、所得税等を控除する前の金額となります。 <男性> ・部長級:60万4100円 ・課長級:50万700円 ・係長級:38万2300円 ・非役職者:31万1900円 <女性> ・部長級:52万1000円 ・課長級:43万800円 ・係長級:33万5900円 ・非役職者:26万300円 <男女計> ・部長級:59万6000円 ・課長級:49万800円 ・係長級:37万800円 ・非役職者:29万1100円 平均値で見た場合、課長から部長へと昇進すると、月給が10万円程度増加していることがわかります。年収に換算すれば、100万円以上増加することになります。 しかし、実際の昇給率は企業によって異なりますし、地域によっても差が見られます。続いて、都道府県別の平均賃金も見てみましょう。 ●都道府県別に見た平均賃金 下のグラフは役職別のデータではありませんが、地域によって平均賃金に大きな差があることがわかります。 全国平均である31万8300円を上回ったのは5都府県(栃木県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府)のみであり、それ以外は平均を下回っています。 最も賃金が高い東京都と最も賃金が低い青森県との賃金格差は11万円以上となっており、額面だけ見れば大きな差があることがわかります。