結婚相手は自分のコミュニティ以外で…「マッチングアプリ」の台頭で「結婚相談所」が倒産・経営危機に
飯島さんによると、結婚相談所は「会員制ビジネス」で、入会金、月額利用料、結婚にこぎつけた成約料などが収入となる。入会金は3万円とか、5万、6万円くらいで、月額利用料が数千円から1万、2万円くらい。成約料は30万円くらいのところがあるほか、相手が弁護士や医者、企業経営者など「ハイクラス」だと60万、70万円くらいもあるという。結婚相談所にとっては、相手探しのため紹介所同士のネットワークに加盟する必要があり、その維持費用がかかる。 一方、マッチングアプリは出会いの場を提供する「プラットホーム」であり、デートの設定や成婚は本人同士でというところも少なくないという。 婚活支援サービスは、結婚したくて相手を探している人が利用する。飯島さんは「成婚率」がポイントになると指摘する。事業者は「成婚率が高いとやっていけますが、低いと、大きな事業者でも利用者が集まらない」とみている。対面の結婚相談所では、「本人同士の相性が良さそうか、だめそうか、目利き力が高い」と成婚率も上がるという。結婚相談所について、飯島さんは「あの事業者は成婚率が高いといった評判につきる」とも話す。 一方、 「マッチングアプリは、あくまで自己申告制で、本人が入力項目を埋めるだけのことが多い。紹介された人が事前の写真と違うとか、既婚者だったとか、悪意のある利用者をアプリの段階で見つけるのは難しい」 と飯島さんは言う。そこで、結婚紹介所に頼る人もいるとみている。結婚相談所には、本人の収入証明や在職証明などを求めるところもあるとも。 ◆「本人が自分で見えていないものを客観視して、背中を押してくれる」結婚相談所 最近のマッチングアプリ利用について、リクルートブライダル総研の落合さんは次のようにみている。 「最近はアプリを主体的に使う人が出てきています。効果的、効率的に結婚相手を見つけられますし、あとくされなくコミュニケーションがとれて、若年層などにはフィットしていますね。最終的には会って判断します。最近のアプリは独身証明を求めるなど、より安全で安心になってきています」 落合さんは結婚相談所のメリットについて 「本人が自分で見えていないものを客観視して、背中を押してくれる機能があります」 と話す。相談所かアプリか、その利用法は 「その人のニーズや価値観にもよります。併用している方もいます」とも。 マッチングアプリのビジネスにも有名企業が参入するなど、各社がサービスの品質をチェックし、サービス内容に磨きがかかっているともいう。落合さんは 「利用者の婚活スタイルで、対面サービスなど選択できるのはいい。アプリでフィットしなかったので相談所へ行くとか、自分に合うやり方を選択できるのがいいことです」 と話す。 結婚相手を見つけたい人には、選択肢が広がるのはいいことだ。アプリが普及する時代でも、対面の結婚相談所の存在意義はある。相談所でもアプリでも、お互いにサービスを磨き、その相乗効果でいい出会いが増えるといい。 取材・文:浅井秀樹
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