県内の伝統芸能、一堂に 東根で「民俗芸能フェスティバル」
県内各地域を代表する六つの伝統芸能が一堂に会する「民俗芸能フェスティバル」が16日、東根市のさくらんぼタントクルセンターで開かれた。少子化に伴う人口減で伝承文化の担い手不足が深刻化する中、支援の在り方を模索する「伝承文化支援研究センター」（山形市、菊地和博センター長）が初めて企画。各団体が郷土の誇りを胸に堂々と演技を披露した。 庄内、最上、村山、置賜の4地区から黒森歌舞伎（酒田市）、梓山（ずさやま）獅子踊下（おどりしも）組（米沢市）、若宮八幡神社太々（だいだい）神楽（東根市）、柳原番楽（ばんがく）（金山町）が出演。加えて、若者が活躍している芸能として、山形大花笠サークル「四面楚歌（そか）」（山形市）の花笠踊り、東北文教大の学生が同市谷柏（やがしわ）地区の住民と復活させた「谷柏田植踊（たうえおどり）」が披露された。 江戸中期の享保年間（1716～36年）ごろから受け継がれる黒森歌舞伎では、赤い旗を奪い合う「だんまり」が披露された。争奪戦に勝利した演者が大見えを切り、飛び六方で舞台を去ると、観客から大きな拍手が送られた。山形市旭が丘、無職阿部妙子さん（72）は「ずっと見たいと思っていた黒森歌舞伎はもちろん、どの芸能も素晴らしかった」と話していた。
同センターの設立10周年を記念して実施し、約150人が来場した。同センターはシンポジウムなどを通じ、県内各地で受け継がれる伝統を発信している。菊地センター長は「伝統が途切れそうになっている団体への支援方法を、地域と一緒になって考えたい」と今後の抱負を語った。
