うちの会社は退職金制度がありません。「退職金なしにもメリットがある」と言われましたが、本当ですか?
退職金制度は、法律などで義務付けられているものではないため、この制度の有無は会社ごとに異なります。勤める会社に退職金制度がない場合、「損をしているのではないか」と考える人もいるのではないでしょうか。一方で、しばしば「退職金なしにもメリットがある」といわれることもあります。 今回は、退職金を受け取れないことがなぜメリットとなるのかについて解説します。
退職金制度のない会社の割合
まずは、退職金制度のない会社の割合を見てみます。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」の結果によると、退職金制度のない会社の割合は24.8%でした。1000人以上の従業員を抱える会社では8.8%でしたが、30~99人の会社では29.5%と、規模が小さくなるにつれて退職金制度のない会社の割合が増える結果となっています。 少数派ではあるものの、全体で見れば4分の1ほどの会社は退職金制度がないといえるでしょう。
退職金なしにもメリットはある?
退職金制度がなければ、会社を辞める際に退職金と称したお金は受け取れません。この点のみを見れば、会社員にとっては損しかないように思えるでしょう。しかし、退職金がないことがメリットとなりえる点はいくつか考えられます。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。 ・給与水準が上がる可能性がある 退職金制度のある会社は、従業員が退職するときに備えて退職金用のお金を準備しておかなければいけません。退職金制度のない会社は、本来その準備に充てるお金を毎月の給与やボーナスに分配可能です。 つまり、同じ業務内容や労働時間に対し、退職金がないほうが毎月の給与水準が上がる可能性が高いといえます。老後に受け取るお金が増えるよりも、若いときに受け取れるお金が多いほうがよい人にとっては大きなメリットでしょう。 ・退職金に期待しない資産形成ができる 退職金制度があったとしても、期待していた額が必ず支給されるとは限りません。また、途中で制度が撤廃される可能性もあります。退職金に期待し老後の生活設計を考えていた人にとって、期待に届かない金額であったり、結局受け取れなかったりすれば人生計画が破たんする恐れすらあるでしょう。 最初から退職金制度がなければ、それに期待しない資産形成と老後の生活設計が可能となるため、堅実な預貯金や運用が期待できます。 ・納税や手続きをする必要がない 退職金を受け取ると、その金額に応じて所得税を支払わなければいけません。また、金額によっては確定申告も必要となります。一時的な手間を省ける程度ではありますが、退職金がなければ、そうしたわずらわしい手続きなどは不要です。