中国はもう無理かも…”補助金ジャブジャブEV”に苦戦を強いられたトヨタ、日産、ホンダが狙う「次なるドル箱市場」
現在、中国のEV市場はレッドオーシャン化している。政府が新エネルギー車の生産振興策を推進した結果、EV生産に乗り出す中国企業が激増。補助金などの支援でEVの低価格化を実現した企業が続々現れ、国内外のメーカーが限られたパイを奪い合う、熾烈な争いに発展している。 【写真】これはヤバすぎる…!中国で「100年に一度の大洪水」のようす 前回記事『血みどろの「EV地獄」と化す中国…《“補助金ジャブジャブ”政策で400社が破綻》世界大手フォルクスワーゲンもついに「白旗」を上げた…!』では、そんな中国国内の現状を解説している。 本記事では、日本の自動車メーカーへの負の影響と今後予想されるシナリオを解説する。
日本自動車メーカーでは続々リストラが…
中国自動車市場のレッドオーシャン化は、わが国の自動車メーカーにも無視できない打撃を与えた。2024年1~6月期、中国における国内大手自動車メーカー3社(トヨタ、日産、ホンダ)の販売台数は前年同期比10.8%減だった。 これまで、トヨタなどのハイブリッド車は、航続距離の長さと環境性能の両面が評価され、中国でも人気を博していた。しかし、EVやPHVの価格低下によって、多くの需要はBYDなどに向かった。上海に大規模な工場でEVを生産する、米テスラですらも低価格競争で業績は悪化している。 それに伴い、中国でリストラを実施する日本の自動車メーカーは増えた。今のところ、完全撤退を表明したのは三菱自動車だけだが、昨年、トヨタは中国で人員を削減した。2024年6月、日産も江蘇省常州市の工場を閉鎖。ゴーン時代に中国事業を重視した日産にとって、中国工場の閉鎖は初だ。 ホンダは中国事業で希望退職者を募り、武漢など一部工場を閉鎖・休止するようだ。中国の生産能力は19%程度削減される模様である。2022年、ホンダは脱エンジンを目指す一環で、武漢でのEV生産能力の拡充を発表した。生産能力の削減を余儀なくされたところに、中国自動車業界の厳しさが表れているといえるだろう。なお、マツダも中国の販売網を再編し、店舗や販路を一本化している。 中国自動車メーカーの海外進出によって、グローバルな生産体制を修正する日本企業もある。スズキは、タイでの四輪車生産撤退を発表した。同国を始めとする東南アジア新興国地域は、わが国の自動車企業が進出して高シェアを獲得した市場だった。 ところが、中国のEVメーカーの輸出と直接投資の増加、産業政策面でEVを重視する現地政府の意向もあり、中国勢が日本車メーカーからシェアを奪っている。スバルもタイからの撤退を表明した。完成車メーカーの再編に伴い、中国などで生産能力を削減するわが国の自動車部品メーカーも増える可能性は高い。 そうはいっても中国は世界最大の新車販売市場だ。景気の長期停滞、経済政策、政治などのリスクは上昇傾向と考えられるが、日米独などの自動車メーカーが中国から完全撤退することは難しいだろう。
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