使用済み核燃料の中間貯蔵施設、稼働始まる 搬出先決まらず地元懸念
青森県むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設について、運営するリサイクル燃料貯蔵(RFS)は6日、施設を正式に稼働し、事業を始めたと発表した。原発の敷地外で使用済み核燃料を保管するのは全国で初めて。 施設は東京電力と日本原子力発電が出資して建設。両社の原発で出た使用済み核燃料を金属製の容器(キャスク)に入れ、乾式で最長50年間保管する。貯蔵容量は3000トンで、今後5000トンに拡大する計画だ。 操業開始に先駆け、東電は9月、柏崎刈羽原発(新潟県)から出た使用済み核燃料69体が入ったキャスク1基を施設に搬入。原子力規制委員会が、キャスクの保管状況などを確かめる使用前検査を実施していた。 規制委はこの日の定例会で、検査に問題はなかったと結論。RFSに使用前確認証を交付した。山中伸介委員長は記者会見で「(搬出する)行き先が決まっていないことは一つの懸念ではあるが、現時点で安全上のリスクがある施設ではない」と述べた。 武藤容治経済産業相は「施設の事業開始は、エネルギー政策上、大きな節目で重要な一歩だ」との談話を出した。 原発の使用済み核燃料は通常、原子炉建屋内のプールに入れる湿式で保管している。しかし全国的に保管容量が逼迫(ひっぱく)。プールが満杯になれば原発は稼働できなくなる。 このため電力各社は、キャスクに入れる乾式保管への切り替えを進めている。各原発の敷地内での保管が進むほか、関西電力と中国電力は共同で、全国2カ所目となる中間貯蔵施設を山口県上関町に建設する計画だ。 国の核燃料サイクルでは、使用済み核燃料を青森県六ケ所村の再処理工場で再処理し、ウランとプルトニウムを取り出して再利用する計画だ。しかし再処理工場の完成はすでに27回延期され、時期は見通せない。 RFSと県、むつ市は安全協定で、施設での保管期間を最長50年としたが、地元では、搬出先が決まらないまま最終処分地と化す懸念が残る。【高橋由衣】