「裏方の経験きっと生きていく」4年生で唯一引退する副主将が代打で最後の打席、ベンチから拍手と歓声あふれ【福岡六大学野球】
◆福岡六大学野球春季リーグ戦第6日第2日 日経大13―1福教大(5回コールド)(19日、福工大) 日経大が福教大に快勝し8勝4敗勝ち点3でリーグ戦を終えた。11点の大量リードを奪った5回1死、代打で出場した戸次良介(4年・福岡工)は遊撃の失策で出塁。一塁の戸次へ向けベンチからは拍手と歓声が起こった。「自分らしいかなと思いました」と戸次は野球人生最後の打席を振り返った。 ■【写真】監督からあいさつを促される日経大の戸次 最終戦でベンチ入りした4年生は8人。ほとんどが秋のリーグ戦まで出場する予定だが、戸次だけが春で引退する。ラストシーズンとなった今季の出場は代打での2打席にとどまった。「春で辞めることはもう決めていたので」。野球は大学まで。卒業後は一般企業に就職するつもりだ。 今季、チームはリーグ2強に君臨する九産大と九共大から1勝ずつ挙げた。九産大に連勝し勝ち点を取れば2006年以来のリーグ優勝に大きく近づいていたが、あと1勝が決められず優勝争いから後退。「1勝の難しさを知りました。詰めの甘さだと思う。九産大や九共大はグラウンド外の姿勢から違うのだと思います」。副主将も務める戸次は2チームとの地力の差を痛感した。
「みんなが一つの形になって戦えたから」
それでも入学時には九産大と九共大の2強に歯が立たなかったチームは徐々に力をつけ、優勝争いに加わるまでに成長した。「入学した頃はみんなバラバラで全体の意識も低かった。監督やコーチがチームを変えようとしていたのを感じて自分たちも頑張っていこうと変わり始めました。今季はみんなが一つの形になって戦えたからここまでやれたと思います」。在籍した3年間でチームも選手個人も成長していった。 レギュラーにはなれなかったが、副主将としてチームをまとめてきた。「自分は裏方として頑張ってきた。社会に出ても裏方の人は絶対にいるし、この経験はきっと生きていく」。小学2年から始めた野球に終止符を打ち就職活動で新たな道を見つける。 「全力でやればチーム力はもっと付いてくると思うんです」。今季、共に戦った後輩たちがきっと優勝を果たしてくれると信じている。 (前田泰子)
西日本新聞社