今年も飛来したアサギマダラと鳥本さん＝飯南町粥見の畑で

　海を越えて旅をする渡りチョウのアサギマダラが、三重県松阪市飯南町粥見の鳥本均さん（73）の畑に植えられたフジバカマに飛来し、季節の風物詩として地域の人たちを楽しませている。 　アサギマダラはチョウ目タテハチョウ科マダラチョウ亜科。羽を広げた大きさは約10センチで、濃い茶色地に淡いあさぎ色（薄い藍色）のまだら模様が特徴。国内に広く分布し春には沖縄・台湾から本州～北海道へ北上、秋には南西諸島や台湾まで南下する。移動距離は1日200キロ以上、2千キロを超えるものもいる。キク科の多年性植物のフジバカマの蜜を好む。 　鳥本さんは大病を患っていた2015（平成27）年、2千キロを旅するチョウの生命力と美しさに感化され「他の人にも見てほしい」とフジバカマ3株を買い、自宅近くの畑に植えた。現在70平方メートルの畑いっぱいにピンクや白色の花が咲き、毎年この時期になるとアサギマダラが飛来する。 　鳥本さんによると11日に最初の1匹を確認したが今年は数が少ないという。気温が高いこともあり、フジバカマの生育が不調で、花の開花も例年より1週間ほど遅れたことが影響しているのではと話す。22日は5匹ほど飛来し、羽に「KMR9.25」（長野県小諸市9月25日）とマーキングされている個体もあった。 　見学に来た浦口ひとみさん（72）＝多気郡多気町油夫＝は「毎年、伺っています。アサギマダラには元気をもらっています」、佐田千津さん（80）＝同町五桂＝は「初めて見ました。素晴らしい、きれいです」とスマートフォンで渡りチョウを撮影していた。