製造めぐり「スパイ合戦」まで 世界の「鏡」競争の事情
あなたの朝がいつもイイ朝でありますように―ニッポン放送『羽田美智子のいってらっしゃい』。11月22日放送分のテーマは「世界における鏡の歴史」です。
遥か昔から「鏡」は神聖であり、神秘の力が宿るものとして、世界中で大切にされてきました。 日本には弥生時代に伝わったとされています。平安時代後半には、当時の中国から伝わった鏡をもとに「和鏡(わきょう)」がつくられるようになりました。 「和鏡」は日本独自の銅鏡で、後ろの部分に山吹、桜、萩、ツル、千鳥、スズメなど、自然の動植物が描かれているのが特徴です。 ガラスの鏡が誕生したのは、一説には紀元前1世紀ごろと言われています。現在の鏡の原形となるものは13世紀ごろに登場し、主にドイツと、現在のイタリア東部や北部にあったヴェネツィア共和国が産地だったそうです。 ドイツとヴェネツィアは鏡の製造で激しく競争し、お互いに秘密を盗もうと、スパイ合戦まで行っていたと言われます。最終的に競争に勝ったのはヴェネツィアで、16~17世紀にかけては、ヨーロッパに対する鏡のほとんどの供給を独占していたそうです。 日本にガラス鏡が伝えられたのは、1549年です。スペインの宣教師フランシスコ・ザビエルが日本に来た際、大名への献上品のひとつに鏡があったと言われています。