断崖絶壁の岩肌続くカマヤ海岸 耳にした名物「漁港めし」今回体験できず
初冬の丹後半島は少し小雨混じりの日が続いていた。高速道を降り国道178号線を走る。しばらくすると海を挟み並行して日本三景の一つ、天橋立が見えてきた。 約3.6km続く砂州には数千本の松が生い茂る。右手にその松林を眺めしばらく走ると、湾に突き出た半島沿いに木造の建物がぎっしり建ち並ぶ風景が見えてくる。映画やドラマのロケ地としても有名になった京都府伊根町の舟屋群。水際ぎりぎりに建つ家屋はまるで海上に浮かんでいるような不思議な風景だ。 京都府内といえども市内から電車で約3時間、車でも2時間はかかる場所だ。圧倒的に人気のある観光地の京都市内、大阪だけでなく、古き良き日本の原風景を求めて丹後、若狭地方といった日本海側の方にまで足を延ばす海外からの観光客が今増えているという。
丹後半島の北端近く経ヶ岬に続くカマヤ海岸。波の穏やかな伊根湾から田畑の広がる筒川、本庄と抜けてくると同じ日本海と思えない断崖絶壁の岩肌が続く。どんよりとした空模様だが、少し緑がかった海が美しい。 伊根町に滞在中、地元の名物に「漁港めし」があることをよく耳にした。カマヤ海岸にほど近い蒲入(かまにゅう)漁港の名物だそうだ。地区民全員が出資して定置網、水産加工事業に取り組む水産会社が作っているもので、その日の朝獲れた魚介類に地元の有機野菜を使って、刺身、煮付け、焼き物、天ぷらなどで提供される豪勢な定食だとか。魚の荷捌き所で会議用テーブルに座り、港を眺めながらのんびりと食事ができるという。 あいにく4月下旬から9月末までの期間限定であるため、今回は体験できなかったが、また次の機会にそんな漁村風景の中、新鮮な海の幸を堪能したいものだ。(つづく) ※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<“舟屋と伝説の町” 京都府伊根町へ>倉谷清文第10回」の一部を抜粋しました。 (2017年11、12月撮影・文:倉谷清文)