日立製作所・徳永副社長が説く「生成AIでDX事業をどう進化させるのか」
「企業にとってレジリエンスを追求することは経営戦略そのものだ」 (KPMGコンサルティング 執行役員 Sustainability Transformationユニットリーダー/パートナーの足立桂輔氏) KPMGコンサルティングは先頃、日本企業におけるレジリエンス(危機を乗り越えさらなる成長を遂げる企業の力)や事業継続計画(BCP)の取り組みに関する実態調査の結果をまとめた「レジリエンスサーベイ 2024」を発表した。足立氏の冒頭の発言はその発表会見で、企業にとってレジリエンスを追求することはどういうことかを説いたものである。 KPMGコンサルティングがこうした独自調査を行ったのは、日本企業におけるレジリエンスやBCP策定に関わる現状の取り組み状況や課題を明らかにし、従業員一人一人の危機対応能力を高め、かつ組織が一体となってレジリエンスを向上させることが目的だ。国内の上場および未上場の企業(約4000社に調査依頼し176件の有効回答を得た)を対象に実施し、日本における「事業継続計画策定の現況」と「オペレーショナル・レジリエンス(業務の強靭性・復旧力)の取り組みの現況」の2つのテーマについて考察している。 レポートの内容については発表資料をご覧いただくとして、ここでは足立氏の発言に注目したい。 同氏は、「当社ではレジリエンスやBCPをテーマにした調査を10年前から実施してきたが、企業を取り巻く環境はここ数年大きく変化し、不確実性が増加した」とし、その要因も自然災害や地政学リスク、サイバーテロ、法令・規制違反リスクなどと広がっていることを指摘した(図3)。 その上で、同氏はそうした変化を俯瞰して2つのポイントを挙げた。 1つは、「有事と平時が常に表裏一体になってきている」ことだ。「有事と平時の切り分けが難しくなってきている」という。 もう1つは、「企業の事業継続性に求められる責任や役割が重くなってきている」ことだ。「サステナビリティー(持続可能性)やESG(環境・社会・ガバナンス)が重視される流れの中で、企業の責任や役割における範囲や深さが変わってきている」という。 特に1つ目については、「企業が経営戦略を策定する際は、社内外の状況を把握する必要があるが、その中に有事と平時が入り混じる世界をしっかりと踏まえることが求められるようになってきた」との変化を指摘した。 そして強調したのが、冒頭の発言である。さらに、「企業においてBCP対策は当たり前になりつつあるが、これからは『レジリエンス経営』を成長の機会としてどう捉えるか、オペレーションの中にどう落とし込んでいくかが非常に大事なポイントになってくる」との見方を示した。 「レジリエンス経営」というのは、激動の時代を生きる企業のキーワードになりそうだ。