「なんで誰も止めてくれなかったの…」4億5千万円を溶かした3代目 「GO」アプリのタクシー会社、自ら乗務員となった社長の復活劇
◆DeNAと激変させたタクシーのビジネスモデル
----日本交通はそうやって復活し、大成功しています。また、川鍋さんは自分でもタクシーを運転したのですね。 1カ月間、「タクシー王」と呼ばれた祖父のような現場感覚を身につけるため、乗務員をしました。 ――そのころ、強力なライバルが出現したとか。 アメリカにUberっていう会社があるらしい、タクシーという存在が根底からひっくり返るかもしれないという噂を聞きました。Uberは、普通のお兄さんがマイカーで「ハーイ!」とか言ってタクシーをやっている。 めちゃくちゃ脅威ですよ。 ----普通の車がタクシーの代わりをするわけですから。 そうなんです。 タクシー事業が、半分IT大陸に乗り上げちゃったなと。 ビジネスモデルの半分、特に一番大事なお客様とのマッチングの部分が、全部テクノロジーに飛んで行きました。 以来、ITを本業として捉えるという状況になったのです。 ----そこからDeNAと連携することになるのですね。 当時、DeNAの作った「MOV」っていうアプリが彗星のごとく現れました。 こっちは何かクラシック・トラディショナル、向こうは新進気鋭かっこ良い。 強みと弱みが全然違うけれど、ぶっちゃけカチンとはまるなと。 ----互いに補完関係になるだろうと。 DeNAトップの南場智子さんは、マッキンゼー時代からの知り合いですね。 知り合いというと少々おこがましい。 向こうは取締役クラス、こっちはぺーぺーですから。 だけど、タクシーという土俵の上では、こっちが祖父から血を引き継いでいるわけですから、うまくプライドもぶつかり合って連携できました。 そして、日本交通系のアプリ「JapanTaxi」とDeNAの「MOV」が事業統合し、タクシー配車アプリ「GO」が誕生したのです。
■44歳で社長退任の理由とは
――川鍋さんは34歳の若さで社長になり、44歳で社長を退任して会長になっています。この理由は何なんですか? それはシンプルで、やっぱりITをやらないと生き延びられないと思ったからです。 タクシー事業自体が半分ITになったので、ITをしっかり自分がトップとして身につけないといけない。 そう思ったとき、日本交通をデイリーに経営してくれる人は他にいくらでもいたので、素晴らしいプロ社長に来てもらいました。 業績も大きく上がって、私は何をやってたんだろう状態です(笑)。 地方に行けば行くほど正直地理も簡単ですからね。