作品解説を楽しみながら委嘱作家の秀作を鑑賞する来場者＝金沢市の石川県立美術館

　　●県立美術館、21世紀美術館　6部門1103点、被災地からも 　第80回現代美術展（一般財団法人石川県美術文化協会、北國新聞社、一般財団法人県芸術文化協会など主催）は29日、金沢市の県立美術館と金沢21世紀美術館で一般公開が始まり、6部門1103点が展示された。元日の能登半島地震から約3カ月で迎えた今展には、被災地からの作品も寄せられ、来場者は美術工芸王国を支える作家陣の尽きることのない美への情熱に触れた。 　現代美術展は終戦から2カ月後の1945（昭和20）年10月に初開催され、作家が技と感性を競う真剣勝負の場として途切れることなく続いている。 　今展には美文協役員・会員による委嘱作402点、遺作3点、一般の部で入選した684点のほか、過去10年の美術文化大賞受賞作などが並ぶ。洋画、彫刻、工芸、写真は県立美術館、日本画、書は金沢21世紀美術館で展示されている。 　洋画の展示室では、美術文化大賞に輝いた柴山桂子さん（金沢市）の洋画「ハルノウタ」が春の訪れを感じさせる鮮やかな色彩で美術ファンを魅了した。 　工芸部門では、加賀友禅作家の毎田仁嗣さん（金沢市）が滝をイメージして制作し、2度目の準大賞に選ばれた作品「moment」が存在感を放った。 　工芸では、沈金（ちんきん）人間国宝の前史雄さんが出品した沈金棗（なつめ）「春待（はるまつ）」をはじめ能登半島地震で被災した作家の秀作も並び、2023年度日本芸術院賞に決まった山岸大成さん（能美市）の陶芸「日本の美・藤」も展示された。 　作品解説では、美文協会員の荒川文彦さん（加賀市）と山岸睦さん（金沢市）がそれぞれ工芸と洋画について解説した。 　現代美術展は4月15日まで。入場料は一般千円、高校・大学生700円、小・中学生は600円となる。会期中は平日午前10時半～11時半、午後1～2時に作品解説を行う。 　現美の巡回展は4月26日開幕の加賀を皮切りに、白山、小松、輪島、能美の各市で開く予定。七尾市は地震の影響で開催を見送る。