大阪地震・駅ビルで天井や壁が崩落「阪急南茨木駅」の今
18日午前に発生した大阪北部を襲った最大震度6弱の地震で、特に甚大な被害を受けたのが、阪急京都線の「南茨木駅」(大阪府茨木市)だ。震源地にほど近く、東口側の駅ビルは天井の崩落、壁の崩落や亀裂などで、今も封鎖されたまま。いったいどのような状況なのか、足を運んでみた。 【拡大写真付き】大阪府が義援金の緊急配分へ 自宅補修にかかる無利子融資制度も創設
南茨木駅、エレベーターやエスカレーターも損傷
南茨木駅は1970年(昭和45年)大阪万博時に開設された駅で、駅舎は築48年経っている。1990年(平成2年)に開業したモノレール南茨木駅と接続し、1日の平均乗降人員は阪急が約4万8000人、モノレールは約1万5000人だと言われ、利用者は相当数にのぼる。 同駅の東出口は今も完全閉鎖状態だ。警備員に話を聞くと、「地震のあとから、ずっと閉鎖されています。2階と3階がだいぶダメージを受けているようでして、もう10日くらいこの状態です」とのこと。 エレベーターやエスカレーターも損傷しており、東口側の利用者は階段の多い陸橋を使っている。 「随分遠回りですよ。階段はしんどいです。自宅よりも駅舎のほうがひどい状態で、驚きました」(30代サラリーマン)、 「南茨木駅の近くに住んでいます。ほぼ毎日、駅を利用してますので、大変ですけど」(20代女性)など、地域住民は今も苦労が絶えない。
南茨木駅の完全復旧のメドはまだ立っていません
駅舎内随所に亀裂が走るなど破損が激しかったため、阪急電車の運行再開後も、同駅だけは通過する措置も取られたというが、復旧はいつになるのだろうか。 「(南茨木駅の)完全復旧のメドはまだ立っていません。駅舎は築48年ですが、一概に古いから崩落したというわけではなく、震度6弱の地震に見舞われ、被害を受けたと考えています。ご迷惑をおかけしています」(阪急電鉄広報)と話している。
マンションのダメージが大きくエレベーターが使えない
一方、大阪モノレールも多大な被害を被り、交通機関の寸断に悩まされた人は多くいたようだ。「今回の地震では、南茨木駅から南摂津駅までの4駅くらいが最も被害が大きかったです。一部、エスカレーターなど点検作業中で動いてないところもございます。これまでダイヤを減らして運行してきましたが、29日の午前11時からようやく通常のダイヤに戻りました」(大阪高速鉄道広報) また、茨木市内では、飲食店なども地域によって被害の格差があり、大型ショッピングモール「イオンモール茨木」の1階のフードコートで働く従業員はこう話す。 「フードコートは1階なので、地震後3日目から営業を再開してましたが、4階のレストランは被害が大きくて再開が遅かったですね。今は営業してます。映画館はずっと閉まっていて、開いたと思ったら、また閉めています」 駅界隈の大手レストランでも、いち早く復旧できた店と復旧できなかった店とがわかれ、早く再開できた店舗は、大入り満員だったという。モノレール宇野辺駅前のマンション6階に住む50代主婦は、こう振り返る。 「怪我はしませんでしたが、食器棚の食器が落ちて散乱してました。いちばんキツかったのは、ガスが止まったこと。ガスが通ったのは23日でした。その間、料理はレンジなどでなんとかなりましたが、お風呂に入れず、困りましたね。洗面所で洗髪し、身体は電気ポットでお湯を沸かして拭いてました。ただ、マンションのダメージが大きくて、エレベーターがまだ使えないんです。毎日、階段です」 地震発生から10日余り、爪あとはまだこうした形で残っている。 (文責/フリーライター・北代靖典)