【日本株週間展望】上値重い、米インフレ懸念-国内決算発表が本格化
(ブルームバーグ): 5月第1、2週(4月30日-5月10日)の日本株は上値が重くなる見通し。米国で主要な経済指標が利下げ観測の後退につながり、投資家の買い意欲を冷やしそうだ。国内企業の業績期待も盛り上がりが乏しい。
米連邦準備制度理事会(FRB)は4月30日から2日間の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。景気の堅調さを示す経済指標を受け、米金利市場では年内の利下げ見送りを織り込み始めている。5月1日には声明公表後にパウエルFRB議長が記者会見を行う予定だ。
米経済指標が市場予想よりも好調になれば、インフレ懸念から利下げが遠のくとの見方が強まり、株式相場の重しとなりやすい。5月3日に発表がある4月の雇用統計に市場関係者の視線は向かっている。3月は非農業部門雇用者数が約1年ぶりの伸びとなり、労働市場の力強さを示していた。
4月第4週は米ハイテク株高を追い風に、東証株価指数(TOPIX)は週間で2.3%高と反発した。日本銀行が当面は緩和的な金融環境を継続すると発表したことも相場を支えたが、前週の4.8%安に対して上げが小さかった。国内の企業業績は好調と軟調な内容が入り交じり、株式市場の期待は高まっていない。
3月期決算の企業の多くは新年度の業績見通しを示す。トヨタ自動車が5月8日に発表する決算は、円安による一段の業績押し上げ効果が期待しにくい中、日本最大の輸出企業が今後の想定為替レートをどの水準に設定するかに注目が集まる。商社は1日に三井物産が発表し、2日に三菱商事、8日に伊藤忠商事が開示する予定だ。
《市場関係者の見方》
楽天投信投資顧問第二運用部の平川康彦部長
企業決算は慎重な業績見通しが多くなるだろうが、相場の方向性を大きく動かすことはなく、日経平均株価は3万8000円を挟んで上下に推移しそうだ。米国のインフレ動向には注意だ。雇用などの米経済指標が市場予想よりも強い内容で利上げが必要となれば、金利上昇による株価評価尺度(バリュエーション)調整で日本株も米株安のあおりを受けそうだ。