直接聞きづらい“給与面”について、転職前に知る方法とは?
自分の給料に「見合わない企業」を炙り出そう
とはいえ、日本企業の99%近くは未上場企業であり、ほとんど情報を公表していません。国税庁が2022年5月27日に公表した「令和2年度分会社標本調査結果」を見ると、株式会社だけで258万3472社あります。株式会社は組織別法人の構成比の92.1%を占めています。 そうした中で、『就職四季報 優良・中堅企業版』(東洋経済新報社)の「平均年収」を使って調べる方法もあります。「地方有力企業など、総合版に載せきれなかった4600社を掲載」という宣伝文句で展開しています※1。 また、応用として「OpenMoney」というWebサービスを使ってみることもできます。グレード(等級)と年収を見ることができ、「自分の年齢や役職でどれくらいの給料になるか」といった当たりをつけるには、いい手段です。 これらで大切なのは、ピンポイントでいくらもらえるのかを知ることではありません。あなたの年齢や業界の給与水準などから、「明らかに自分に見合わない企業」を除外することです。「志望企業は、この業界の中で適正か」を図る指標になります。 たとえばA業界の35歳時点の平均年収が500万円の時、受けている企業が400万円だったら「100万円を下回ってでも入社する、金銭以外の報酬はあるのか」と立ち止まってください。 企業分析ではありませんが、最終的には、内定が出た時に通知される「雇用契約書」の説明を受ける際、聞くこともできます。「企業に直接聞きにくい」と思ったら、転職エージェント経由で企業に聞いてみることをお勧めします。 給料は、あなたの努力や工夫に対して会社が見る目を持っているかを図る重要な指標です。労働者として会社と契約することは、あなたの人生の中の貴重な時間を商品にすることと同用です。給料も企業を分析する対象に加えてください。
佐野創太(退職学研究家)