ロシア・ダゲスタン共和国でユダヤ教礼拝所や教会襲撃、警官や司祭ら死亡
ロシア・北コーカサス地方のダゲスタン共和国で23日、ロシア正教の教会やユダヤ教の礼拝所(シナゴーグ)が武装集団に襲撃され、多くの死者が出たもよう。 デルベント市と最大都市マハチカラ市で武装集団による銃撃があった。この日は正教会の聖霊降臨祭の日だった。 ダゲスタンのセルゲイ・メリコフ首長によると、少なくとも15人の警官が死亡した。 司祭1人、警備員1人も死亡したとされる。襲撃者側は6人が死亡し、警察がその他の行方を追っている。 襲撃者は特定されていない。ダゲスタン共和国では過去にイスラム主義者による襲撃事件が起きている。 23日の攻撃では教会とシナゴーグが2カ所ずつ標的にされた。マハチカラ市では正教会の司祭が殺害された。 ソーシャルメディアに投稿された動画には、黒い服を着た複数の人物が警察車両に向けて発砲し、緊急サービスの車列が現場に到着する様子が映っている。 一方、古くからユダヤ人コミュニティーがあるデルベント市では、武装集団がシナゴーグと教会を襲撃し、火を放った。 メッセージアプリ「テレグラム」の非公式のロシア語チャンネル「Mash」によると、襲撃者らはデルベント市内の建物に立てこもったという。 セルゴカル村では警察車両1台が襲撃された。襲撃者の中に、マハチカラ近郊セルゴカリンスキー地区のマゴメド・オマロフ地区長の息子2人が含まれるとの複数報告があり、警察はオマロフ地区長を拘留した。 ダゲスタン共和国はロシアで最も貧しい地域の一つで、その人口の大部分をイスラム教徒が占める。 2007年から2017年にかけて、「コーカサス首長」、後に「コーカサス・イスラム首長国」と呼ばれるジハーディスト(イスラム聖戦主義者)組織が、ダゲスタン共和国と隣接するロシアのチェチェン、イングーシ、カバルディノ・バルカリアの3共和国で攻撃を仕掛けている。 3月に首都モスクワの「クロクス・シティー・ホール」が襲撃された際には、武装勢力「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した。しかしロシア当局は、この攻撃をめぐる非難の矛先を、ウクライナと西側諸国に向けた。 ウラジーミル・プーチン大統領は当時、ロシアは「宗教間の調和、宗教間・民族間の団結というユニークな例を示しており」、「ロシアがイスラム原理主義者によるテロ攻撃の標的になることはありえない」と主張していた。 それでも、3カ月前にはロシア連邦保安庁(FSB)が、ISが企てていたモスクワのシナゴーグへの攻撃を阻止したと報告している。 ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降、ロシア国民は自分たちの主要な敵はウクライナ人と「集団的な西側諸国」だと信じ込まされてきた。ロシア当局はこうした公式のシナリオに国民が疑念を抱かないよう、そのメッセージを変えようとしていない。 (英語記事 Deadly attacks on Dagestan synagogues and churches)
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