元日本代表のラグビーアカデミーが「障がい者歓迎」を掲げたワケ…「出来ると思っていなかった」発達障害を抱える“193センチ、127キロ”選手の言葉
茨城県内にラグビー元日本代表の選手らが子どもたちに教えるアカデミーがある。平日放課後を中心に活動する「Elite Rugby Academy」(ERA)だ。日本開催で盛り上がった2019年のラグビーW杯の人気を背景に、県内でラグビー文化を根付かせるべく設立されたのだが、実はいま同アカデミーには「自閉スペクトラム症」を抱えた選手が在籍している。そこにはどんな背景があったのだろうか? <前後編の前編/後編につづく> 【写真】「チームメイトとも楽しそう!」自閉スペクトラム症でもアカデミーでは「良いことしかなかった」…193センチ、127キロの超フィジカル・正田信也さんの練習風景を見る
ラグビーアカデミーに届いた「1通のメール」
2023年11月。小中学生を対象とした茨城県の平日ラグビーアカデミー「Elite Rugby Academy」(ERA)のもとに、1通のメールが届いた。 差出人は、茨城県在住の正田直紀さん・真紀さん夫妻。 息子の信也さんは、特別支援学校の中等部3年生(当時)だった。 「本人は大勢が苦手なタイプなのですが、『ラグビーをやりたい』と言っています。検索したら『障がい者歓迎』のマークがある『Elite Rugby Academy』を見つけました。それを見て、勇気をだしてメッセージを送りました。もし体験参加などありましたら、ぜひ教えてください」 そんな体験希望のメールから4カ月後。 アカデミーの練習拠点である茨城・水城高校グラウンド。夜間照明の下、アカデミー生となった信也さんが、小中学生とラグビーボールを追いかけていた。 練習を見守る父・直紀さん、母・真紀さんにとっては驚きの連続だ。 小学校の運動会は「見る参加」や「15分で帰宅」ばかりだった。自閉スペクトラム症とADHDの診断を受けている息子が、同年代の集団に混じって、スポーツを楽しんでいる。 仲間からパスを受けた信也さんが走りはじめた。隅にトライを決めた。「信也ナイス!」「信ちゃんナイス!」周囲から声が飛んだ。 「自分でも出来ると思ってなかったです」 信也さんは本稿のためのインタビューでそう話し、となりで聞いていた母に笑いかけた。
【関連記事】
- 【つづきを読む】元日本代表選手のラグビーアカデミーが発達障害の選手を受け入れて感じたリアル…「予想外だった」チームメイトの“意外な反応”とは?
- 【写真】「チームメイトとも楽しそう!」自閉スペクトラム症でもアカデミーでは「良いことしかなかった」…193センチ、127キロの超フィジカル・正田信也さんの練習風景を見る
- 【消えた天才】福岡堅樹や松島幸太朗と一緒にW杯で見たかった…ラグビー黄金世代“消えた天才”の今「エディーが惚れた才能」「先輩も驚いたブレイクダンス」
- 【必読】小6で44歳の母を亡くして…『10年後の僕は日本代表に選ばれていますか?』ラグビー李承信が叶えた“卒業文集に記した夢”
- 【トンデモ伝説】「鼻が曲がっちゃったけど、まぁいっか」ラグビーW杯“死闘”を制した“南アの鉄人”が世界一になるために日本を選んだ理由