学校更衣室「着替え動画」2万ファイル押収 ハンガー型カメラを駆使した盗撮男の卑劣手口
学校関係者や被害に遭った生徒らは、男の盗撮行為に全く気づいていなかったという。
男は、令和元年ごろから学校内での盗撮に手を染めていた。県警はこれまでの捜査で、高校4校を含む6件の建造物侵入や、5件の窃盗、20件の性的姿態撮影処罰法違反事件に関与したことを裏付けている。
■土日も部活動、地域との関わりがあだに
男は県警の調べに「成人ではなく未成年に興味があった。県外の学校にも侵入していた」などと話しているという。
児童8人の命が奪われた平成13年の付属池田小学校の殺傷事件以降、主に幼稚園や小学校などを中心にセキュリティー対策が進み、防犯カメラの設置や教員の不審者対応訓練なども行われている。ただ、犯罪者の手口が多様化し、徹底した防犯対策を講じなければ犯罪を未然に防ぐことは難しい。
特に高校では、部活動などで土日も多くの生徒が出入りし、教員の指導のもと、戸締まりを生徒が担当する場合もある。防犯対策の徹底には難しさもあるという。
兵庫県教育委員会の担当者は「地域に開かれた学校として地域住民も出入りするため、休日に校門を閉め切っている学校は少ない」と説明。「地域との関わりという点において、防犯対策とのバランスが難しい」と話す。
今回被害に遭った学校では無施錠の窓があったほか、鍵の管理方法が徹底されておらず、誰でも鍵を盗み出せるような状態だった。兵庫県警は今回の事件を受け、県教委などを通じ、各学校に夜間休日の施錠の徹底や鍵の保管方法について注意喚起。各校の実態に合わせて対策が進められているという。
防犯対策などに詳しい関西国際大心理学部の中山誠教授(犯罪心理学)は、多様化する犯罪を防ぐ有効な手段として防犯カメラの設置を挙げ、「学校への侵入を試みる不審者に犯行を思いとどまらせる効果は確実に期待できる。まずは外からの侵入を防ぐ対策をすべきだ」と指摘。
その上で「生徒の安全を守ることが最も大切。『自分のところは大丈夫だろう』と思い込まず、防犯カメラの設置などハード面の対策のほか、生徒一人一人の防犯意識を向上させる教育を行うなどソフト面の対策も重要だ」と話している。(安田麻姫)