スタンディングウェーブにグレイニング……F1ラスベガスGPがタイヤに過酷なのはなぜか?
今週末に開催されるF1ラスベガスは、11月中旬という開催時期、そしてナイトレースということもあり、全てのセッションで気温が10度以下になるとの予報がある。そうなると、タイヤを扱うのが著しく難しくなる可能性がある。 【サーキット解説】F1ラスベガスGPのサーキットを、F1 23のオンボード映像でチェック! F1ラズベガスGPの舞台であるアメリカ・ネバダ州ラスベガスは、砂漠地帯に存在するカジノ都市だ。砂漠地帯にあるということは、日中と夜間の気温差が大きい。そんな場所で11月中旬という冬に近い時期での開催、さらにセッションがいずれも夜間に開催されるということで、通常とは異なる課題に晒される可能性がある。 週末の間に、最も暖かくなると考えられるのは、現地20:30から開催されるフリー走行1回目と3回目。決勝は22時スタート、フリー走行2回目と予選は、日付が変わった24時にセッションが始まる。夜が深まるに連れ、当然気温も路面温度も下がってくる。 F1はこれまでにも、寒いコンディションで走ったことがある。2020年にニュルブルクリンクで行なわれたアイフェルGPは、気温9度の中レースが開催された。またカタルニア・サーキットを舞台に行なわれたプレシーズンテストでは雪が降ったこともあり、各チームはビーニーを被り、ダウンコートを着込むのが常だ。 しかしラスベガスが異なるのは、路面がニュルブルクリンクやカタルニアとは異なりスムーズなアスファルトになっているということ。しかも長いストレートが存在し、逆に高速コーナーがないため、タイヤが冷えてしまうはずだ。冷えてしまったタイヤを温める場所はほとんどない。 そのためピレリは、FIAやF1、そしてチームからのデータを活用し、タイヤのグレイニングや振動に悩まされないように取り組んでいる。 ピレリのモータースポーツ責任者であるマリオ・イゾラは、次のように説明する。 「バルセロナでも、同じような気温でプレシーズンテストを行なったことがある。しかしバルセロナは、タイヤにより多くの入力があるサーキットだ」 「また当時のアスファルトは、非常に攻撃的だったことを覚えている。再舗装される前だったからね。したがってラスベガスは、過去のデータと比較すると、かなり特殊な状況になると思う」