ホロライブ・さくらみこがファンへの感謝の手紙で涙。1stソロライブ「flower fantasista!」
2024年10月26日、VTuberグループ「ホロライブ」のさくらみこが1stソロライブ「flower fantasista!」を東京・有明アリーナで開催した。ホロライブ0期生のさくらみこは黎明期からVTuber業界とグループを牽引してきた存在。意外にも活動7年目にして今回が初めてのソロライブで、9月にリリースされたばかりの1stアルバム「flower rhapsody」をひっさげての華々しいステージとなった。 【写真を見る】有明アリーナで1stソロライブを開催したさくらみこ 35P(みこぴー)の愛称で呼ばれるファンたちが待つ有明アリーナの会場に、まず映し出されたのはオープニングムービー。"みこ"にちなんで35からスタートしたカウントダウンが進み、客席の歓声も次第に大きくなっていく。そして、1曲目の「アワーツリー」のイントロが流れるとさくらみこがステージに登場。「にゃっはろー! みこのソロライブ、みんないくぞー!」の挨拶でソロライブは幕を開けた。 「アワーツリー」に続く2曲目の「にゃっはろーわーるど!!!」は、ハイテンポなサウンドに乗せてさくらみこの"語録"やエピソードを歌詞として詰め込んだ、楽しさいっぱいの曲。配信ではおなじみのフレーズ「みこ、俺恥ずかしいよ...」のコール&レスポンスで会場の一体感と熱量も高まっていく。続くMCパートでは、さくらみこがサクラ色のペンライトで染まった客席を眺めながら、「35P! みこと一緒に有明来たぞー!」と絶叫に近い声を上げて感情を爆発させる。 その後、ボカロP・じんが提供した楽曲「DAI DAI DAI ファンタジスタ」、さくらみこのキュートな魅力をたっぷりと味わえる「きゅんきゅんみこきゅんきゅん♡」を披露。「きゅんきゅんみこきゅんきゅん♡」ではステージ上で歌いながら、今回のソロライブのための新衣装にチェンジ。サクラ色のドレスと金色のティアラ、髪を下ろしたロングヘアのさくらみこが登場すると、客席からの歓声もひときわ大きくなる。さくらみこもその歓声に応えるように、胸元でハートマークのハンドサインを作るなどキュートなダンスでファンたちを魅了していく。 歌唱後のMCパートでもあらためてソロライブ衣装を紹介。さらに「7年前の『自分らしさがわかんない』って言ってたみこから考えると、本当にでっかくなったというか。まさかここまで来れるとはあの頃は思っていなかったけど、みんなのおかげですね! ありがとう!」と語り、ソロライブ開催の喜びを噛みしめる。また、海外からやって来たファンも含む客席の35P、韓国や台湾で行なわれているライブビューイング会場、さくらみこが「吊るし席」と呼ぶ配信視聴中のファンとホロメン、それぞれに向けて感謝の気持ちを伝えていた。 MCに続いて、ナナホシ管弦楽団が手掛けた「さくらんぼメッセージ」、ソロライブ直前にMVが公開された最新曲「1135」、ギャルゲー的な世界観をコミカルに綴った「Sakura Day's」と、キャッチーなポップチューンを展開。まるで子どものような豊かな表情がさくらみこの大きな魅力のひとつだが、彼女のキラキラとした笑顔がひときわ輝いて見えたのも印象的だった。その3曲を歌い終えた直後、一気に暗転したステージ上にホラーテイストの映像が流れ出す。そのムービーの中に浮かび上がったのは恐ろしい殺人鬼......などではなく、さくらみこの分身キャラとしてファンに愛されている「みこだにぇー」だった。みこだにぇーだと判明すると客席も声援で反応。映像から繋がる形で客席の通路に実際に現われ、みこだにぇーがファンの間を練り歩く中、さくらみこがステージ上で歌ったのは"みこだにぇーに捧げる唄"とも言われる「イケ贄」。歌い終えた後、大きな声援を浴びるみこだにぇーの人気ぶりを間近で見て、さくらみこが「お前、愛されてるなー!」と感心する場面もあった。 みこだにぇーを見送ったさくらみこは、次の曲を歌う前に「配信ではなかなか出さない、秘めた感情を歌った楽曲」と語り始める。「配信ではみんなに笑顔を届けるぞって頑張っていますけど、だから暗い話とか愚痴とかもあんまり言わない......よね? たぶん。言わないようにしています。でも、みこもみんなと一緒です。人間なんです。バーチャルだけどちゃんと心もある。傷つくような言葉とかも、こういう立場だから少なくない。こういう立場じゃなくても、いろんな人がいろんな立場であったりすると思います。でも、みこは配信で出さないをモットーとして思っているから、曲として伝えることにしました。みこのことを大好きなみんなもそうだし、そうではない人にも向けた曲を作ってみました」と、ゆっくりと自分の言葉で思いを告白。そんな複雑な気持ちを込めて、なのに柔らかい笑顔で、さくらみこは「ライクとヘイト」を歌い上げる。それに続いて歌った「あーゆーれでぃ」では、手の動きに合わせたエフェクト演出で観客たちを楽しませた。 ライブが後半に差し掛かると、ステージ上には青い彗星のビジュアルが出現し、その閃光とともにゲストの星街すいせいが登場。MiComet名義で活動する2人が歌うのは、TAKU INOUE・DECO*27が手掛けるコラボソング「シュガーラッシュ」だ。2人は日頃からお互いの関係を「ビジネス」とネタ的に表現している間柄で、この日もさくらみこは星街を「ビジネスパートナーのすいちゃんです」と紹介。トーク中には、さくらみこが今回の1stソロライブに合わせて、星街にも1stソロライブの当時の衣装を着てほしいと"お揃い"をリクエストしていたことも明かされた。その後、2人によるデュエットで星街の代表曲「Stellar Stellar」を歌い、圧巻のパフォーマンスを見せつけた。 星街とのコラボレーションの後、ハンドマイクを手にしたさくらみこは「Re:flection」「SUNAO」の2曲を歌唱。「Re:flection」では衣装が光を放つ演出が美しく、「SUNAO」ではドレスがサクラ色から純白へと変わるなど、彼女の衣装に対するこだわりも垣間見えた。 ステージ本編の最後の曲を歌う前に、さくらみこは「手紙をみんなに用意したんです」と切り出して、35Pへのメッセージを読み上げた。手紙を手にしたものの、涙をこらえているのか声がなかなか出てこない彼女に、客席の35Pが励ますように大きな声援を送る。その手紙は、彼女らしい、そして彼女と35Pらしい、温もりと愛に満ちあふれたメッセージとなっていた。ライブの最中、さくらみこは「みこと一緒に」「35Pと一緒に」と何度も口にしていたが、手紙を読み上げるこの場面はそんな彼女の気持ちを象徴するような時間だった。読み終えて涙を拭ったさくらみこは、1stアルバムのタイトルチューンでもある「flower rhapsody」を歌い始める。自分の生き方や「自分らしさ」について葛藤する気持ちを、等身大のさくらみこのまま歌いきる姿が胸を打つステージとなった。 アンコールでは「マイネームイズエリート☆」で再び元気いっぱいの笑顔で会場を明るく照らし、アンコール2曲目には「みこの大好きな曲」としてサンボマスターの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」をチョイス。サビの部分ではさくらみこも客席も一緒になってタオルをぶん回すほどの盛り上がりを見せる。そして、アンコールを含めたソロライブ最後の曲は「サクラカゼ」。1曲目の「アワーツリー」と対をなすような位置づけの楽曲だ。客席には大量の桜吹雪が舞い、さくらみこの「ありがとう!」の声に合わせてさらに銀テープを射出。会場がサクラ色に染まる中、まさに大団円という言葉がふさわしいフィナーレでさくらみこの1stソロライブは幕を下ろした。 活動7年目で辿り着いたソロライブという大舞台を、全力でやりきったさくらみこ。最後の曲「サクラカゼ」の冒頭では「35P、ここまで一緒に来てくれてありがとう!」と叫び、歌い終えた後は涙声で「来てくれて、見てくれて、みこを見つけてくれて、ありがとう!」と叫んだ。それは心の底から湧き起こった"魂の叫び"だっただろう。そんな彼女を見守る35Pとの温かい絆を育みながら、さくらみこの物語はこれからも続いていく。35Pと一緒に。 なお、さくらみこ1stソロライブ「flower fantasista!」は、11月26日(火)23:59までアーカイブ配信が行なわれる。 取材・文=editaholic
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