水原一平容疑者訴追 異例のスピード発表「連邦地検は水原氏にキレている」国際弁護士が分析
米ロサンゼルスの連邦地検は11日(日本時間12日)、銀行詐欺容疑でドジャース・大谷翔平投手(29)の元通訳・水原一平容疑者(39)を訴追したと発表した。違法賭博の借金返済目的で大谷の口座から胴元に不正送金した金額は、これまで450万ドル(約6億8000万円)以上とされていたが、1600万ドル(約24億5000万円)以上と判明。送金の際は電話で大谷本人になりすまし、通訳の立場を悪用して代理人や会計士を口座から遠ざけるなどの手口も表面化した。 【写真】水原容疑者のフリードマン弁護士 ◆国際弁護士・湯浅卓氏 今回の連邦地検の発表は、相当早いスピードだと思います。米国は司法取引の国。いろいろな罪状をじっくり時間をかけて固めた上で「じゃあ、この部分を司法取引しましょう」と持ちかけるものです。つまり、時間をかければかけるほど司法取引の余地が広がります。 ではなぜ、司法取引の可能性を狭めてまで早く罪状を固めたのか。平たく言えば「連邦地検側が水原氏の態度にキレている」ということだと思います。会見で担当検事が水原氏に対し「今後、彼が争うにせよ―」という言葉を口にしています。こんなことを言う事例は聞いたことがなく、相当なイラ立ちが見て取れます。 具体的には、水原氏に対して「賭博のお仲間のことを全然話さないな」もしくは「ウソをついているな」と感じていることが考えられます。推測ですが、水原氏には表に出ていないような「余罪」追及の余地があり、その捜査を進めるために重圧をかけているのではないでしょうか。ちなみにウソの供述をすれば虚偽陳述罪で8年以下の禁錮。出廷予定の水原氏への裁判官のふるまいで、どの程度怒っているのか見て取れる気がします。 銀行詐欺罪は連邦法に定められているもので、禁錮30年以下。経済犯罪の中で超重罪に当たります。米国は金融資本主義の国。国家システムの根幹を揺るがす犯罪には非常に厳しいのです。とはいえ、実際の判決は30年までは行かないでしょう。司法取引と、検察側の心象を考慮すると、数年から10年前後の禁錮になると予想できます。 窃盗と違法賭博の容疑については、カリフォルニア州の法律の適用となるので連邦地検の管轄外。別個に同州の司法が裁くことになり、連邦法の罪に加算されていくことになります。
報知新聞社