木造２階建て住宅の建築実習に取り組んだ学生たち＝山形市・山形職業能力開発専門校

　県立山形職業能力開発専門校（山形市、竹田良夫校長）の建設技術科2年生が実習で建築に取り組む木造2階建て住宅（延べ床面積約80平方メートル）が完成した。昨年は20人で建てたが、今年は過去最少の6人。少ない人数でも作業の効率を高めるように工夫し、前年より半分以下の人数ながら工期の延びは1カ月にとどまった。20日には同校の学園祭で一般に公開される。 　同実習は2年課程で大工を育成する同科の特徴的なカリキュラムとなっている。天井まで約8メートルの実習棟内で、6月から学園祭が開催される10月にかけて、実際と同じ大きさの住宅を建築する。7月には上棟式で安全祈願を行うなど、建築にまつわる伝統についても理解を深めている。 　定員20人に対し、例年少なくとも十数人が入校している。今年の2年生は特に少なかったため、「実習できるか」と不安視する声も上がっていた。開始時期を1カ月早め、一部作業を合理化するなど工夫しながら実習を進めた。

　屋根や階段、壁、サッシなど、各部分は講師の指導を受けて学生が作業。より慎重に作業する必要がある部分の見極めや、建て始めから完成までの実際の流れなど、個々の技術だけではなく、実践的な知識と理解を身に付けた。 　大工志望の6人の学生は昨年の先輩が20人で取り組んだことを間近に見てきた。佐藤公哉さん（19）は「1人が2倍以上作業をしないといけないので厳しいと思ったが、学べる部分は多くなったということ」と前向きだった。伊藤陽詩さん（19）は「大変だが充実している」と話していた。 　同校は自動車整備士を育成する自動車科を含め、就職率100％が続く一方で、全国的に大工のなり手が不足している。同科の大嶋英利指導専門員（48）は「実践的な知識と技術を身に付けた卒業生は多くの現場で活躍している。今年の学生も人数が少ない中、しっかりと頑張ってくれた」と評価した。