<インド・ブッダガヤ>智慧の光 ── 高橋邦典フォト・ジャーナル
何百、ときには何千と、一面に広がるバターランプ。インドやネパール、チベット仏教の寺で良く見かける光景だ。その名の通り、元来はヤクの乳から作ったバターに芯を入れ使っていたが、現在は植物油を使うことが多いという。
「智慧の光」とも言われるバターランプ。物ごとをありのままに把握し、真理を見極めることへ導く光、という意味をもつ。また、亡くなった人々が来世へ向かう道を照らす役割もあるという。ゆらゆらと燃える無数の炎をぼうっと眺めていると、ここにある現実の世界と自分の接点さえもが曖昧になってくるような、不思議な錯覚に陥った。 (2014年11月) ---------------- 高橋邦典 フォトジャーナリスト 宮城県仙台市生まれ。1990年に渡米。米新聞社でフォトグラファーとして勤務後、2009年よりフリーランスとしてインドに拠点を移す。アフガニスタン、イラク、リベリア、リビアなどの紛争地を取材。著書に「ぼくの見た戦争_2003年イラク」、「『あの日』のこと」(いずれもポプラ社)、「フレームズ・オブ・ライフ」(長崎出版)などがある。ワールド・プレス・フォト、POYiをはじめとして、受賞多数。 Copyright (C) Kuni Takahashi. All Rights Reserved.