「鵜様」捕獲場におらず 地震で崖崩落、温暖化影響 七尾、2日間で目撃ゼロ 鵜捕主任・小西さん
●11日が期限 鵜祭継承に黄信号 羽咋市の気多大社で16日に営まれる国重要無形民俗文化財「鵜祭(うまつり)」で、主役となるウミウ「鵜様(うさま)」の捕獲が今年も難航している。8日に七尾市鵜浦町の岸壁で作業を始めたが、2日間でウミウの目撃はゼロ。温暖化による生息環境の変化に加え、能登半島地震で崖が崩落した影響とみられ、タイムリミットの11日までに捕獲できるか、関係者はやきもきしている。 鵜様を捕獲するのは鵜捕(うとり)主任の小西寛之さん(62)=鵜浦町=と長男達矢さん(37)=氷見市=の2人。 捕獲は一子相伝の技で、七尾市東部の崎山半島の先端部にある切り立った高さ約30メートルの崖で行われる。 地震の影響で崖は一部崩落した。崖の中腹にある、鵜を捕らえるための足場に被害はなく、たどり着くことはできるが、ウミウが羽を休めるための「たまり場」が崩れた。加えて温暖化の影響でウミウの移動範囲が北上し、年々少なくなっていることも原因として挙げられるという。 過去5年で、ウミウが捕獲できたのは2回。2019、20年は捕獲できず、21年に3年ぶりに成功した。22年は再び捕まえることができず、昨年は2年ぶりに捕まえた。 気多大社まで2泊3日かけて鵜様を運ぶ「鵜捕部」は鵜浦町の約20軒の住民が交代で務める。12日朝に出発するため、それまでに捕獲する必要がある。 小西さんは「地震でどうなるか予想がつかないが、期待に応えられるよう頑張りたい」と話した。