ECB、特定の金利の道筋を事前に約束しない-チーフエコノミスト
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は金融政策の次の動きについて会合ごとに判断するアプローチをとっていくと、チーフエコノミストのレーン理事が語った。
レーン氏は2日、バーチャル形式で行ったスタンフォード大学経営大学院でのゲスト講演で、「われわれは特定の金利の道筋を事前に約束することはしない」と明言。現在の不透明性を「金融政策の調整に多次元で組み込んでいくには、データに依存し会合ごとに判断していくアプローチが最善の方法だ」と論じた。
ECB政策委員は6月6日に利下げを決定すると示唆しているが、その後にどうなるかはあまり明らかでない。一部のハト派委員は連続利下げの可能性をほのめかしているが、タカ派寄りの委員は不透明性を警告、拙速な動きに注意を促している。
ギリシャ紙リベラルが公表した別のインタビューで、ECB政策委員会メンバーのストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁は、年内の利下げ回数はいまや3回が「より可能性の高いシナリオ」で、以前に予想していた4回から減少したとの認識を示した。
リスク要因
レーン氏は、今後は微妙なバランスが必要になると指摘。「次の局面に進むに当たっては、両面のリスクがある」と述べた。
あまりに早く、または急激に動けば、「インフレが予想以上に根強いことが判明する場合に、インフレ目標への持続的な回帰と整合」しなくなるだろうと警告した。
同様に、金利を高過ぎる水準であまりに長く据え置けば、「中期でインフレを目標以下へと押し下げ、過度の副作用を生むことになる。生産や雇用、投資が犠牲になるということだ」と論じ、そうなれば「後になって急いで修正の行動をとらざるを得なくなる」と続けた。
米金融当局とECBの金利動向のかい離も注目されている。レーン氏は、米国の動きはECBにとって重要ではあるものの、政策設定の際により重視するのはユーロ圏の域内要因だと主張。中央銀行が異なるペースで動くことの影響について、一次元的な見方をしないよう戒めた。