仕事のコミュニケーションが苦手な人の特徴と克服方法【プロが伝授】
仕事のコミュニケーションが苦手だと生じるデメリット
アサーションスキルが足りず、自分の意見をうまく言葉にできないままでいると、仕事上どのようなデメリットが生じてしまうのでしょうか。 ◆仕事に必要な情報が入らず、チーム内で孤立してしまう 従順的パターンの人は、周りの主張や指示を我慢しながらも受け入れてしまうため、周りも「あの人には丁寧に背景を説明しなくてもいいよ」「理解してくれるから情報を共有はしなくて大丈夫でしょ」と軽く扱われやすいです。 反抗的パターンの人は、周りを力で説得させようと威圧的なコミュニケーションを取るために、周囲が委縮し、報告・連絡・相談を避けるようになります。いずれも仕事上での必要な情報が入ってこないタイプです。 ◆上司から評価を得にくい 仕事を円滑に進めるには、自分の意見や現状を周りに伝え、実現可能な業務量やスケジュールなどをすり合わせていく必要があります。 無理だとわかっていても断れない人は、結果として「キャパシティオーバーで仕事が終わらない」などの事態を招きます。引き受けた仕事ができていないと、低評価につながってしまうでしょう。実は人よりも仕事をこなしているのにも関わらず、理不尽な扱いを受けることが多いのです。 ◆顧客の信頼が得られない 的確なアサーション力は、お客様との仕事においても欠かせません。言うべきことが言えないことで、「求める情報提供がない」と信頼を損ねてしまう可能性もあります。 また、自分のすごさや力を知らしめるような反抗的パターンのコミュニケーションの場合、「自分の話ばかりしている」「こちらの思いを聞いてくれない」と不満につながってしまうでしょう。
仕事のコミュニケーション苦手を克服する方法
自己肯定感の低さからくる苦手意識は、体に刻み込まれた反応ともいえます。時間とエネルギーが必要ですが、「なぜ自分に自信が持てないのか」「自分には価値がないと感じてしまうのか」という根本的な問いに向き合うことが、苦手を克服する方法の一つでしょう。 自分の性格特性がどうやって形成されたのかを探求していくと、幼少期の出来事までさかのぼることになります。多くの場合で、両親や周りの大人の言動、自分に向けられた言葉や態度などが影響しているため、カウンセラーなどの専門家とともに振り返り、自分の特性を理解していくことをおすすめします。 一方で、明日からでも、周りとスムーズなコミュニケーションを取りたいという方も多いでしょう。そこでおすすめしたいのが、相手のペースに合わせる「ペーシング」です。3つの観点からご紹介します。 ◆言葉のペーシング 相手が使っている言葉をそのまま使います。例えば「先日は、〇〇があってね…」と相手が話せば、こちらも「〇〇があったんですか!」と返します。きちんと話を聞いているという安心感により、心を開いてくれるようになります。 ◆声のペーシング 相手の話すテンポに合わせて相づちを打ったり、同じテンポで話したりします。また相手の声の高さや、声のボリュームに合わせて話すことで、「息が合う」感覚を作り出すことができます。 ◆身体表現(ボディーランゲージ)のペーシング 相手の姿勢や振る舞いを真似ることで、安心感を生み出します。お茶を飲むタイミングを合わせたり、呼吸のリズムを合わせたりするのも効果的です。 ただ、呼吸を合わせると言っても難しいので、私は「あごの動きを合わせる」ことをおすすめしています。相手があごを大きく振るのなら、こちらも振るなど、動きを合わせていくと、自然に呼吸が合い、話すリズムや声のテンポも合っていきます。 相手が「この人とは息が合って、信頼できる」と思ってくれれば、大事な話を自分からしてくれたり、提案に耳を傾けてくれたり、仕事を任せてくれるようになるでしょう。