[山口県]姿を消した銘菓「せめんだる」復刻! 山陽小野田市民に愛され14日先行販売
社会福祉法人の食パン専門店、形そのまま味は新しく
かつてセメント産業で栄えた山陽小野田市を代表する銘菓で、約70年にわたり市民に広く親しまれながらも2022年に姿を消した「せめんだる」を、同市の社会福祉法人健仁会が復刻した。14日のイベントで先行販売し、19日から同法人が運営する同市厚狭の食パン専門店「極みの食パン安都佐」で販売を始める。 【写真】復刻した山陽小野田市の銘菓「せめんだる」 せめんだるは、たるの形をしたもなかにセメントに見立てたあんを詰めた和菓子。かつて小野田で製造されたセメントがたるに詰められ、小野田港から全国津々浦々に運ばれていたことに由来する。1952(昭和27)年の誕生から長年愛されてきた味だったが、新型コロナウイルスの感染が拡大していた2022年1月に、製造販売していた老舗和菓子店が閉店した。 銘菓がなくなったことを惜しむ市民は多く、地域活性化に利用できればと小野田商工会議所が商標を買い取り、復刻を目指して健仁会が「安都佐」で製造することに。ただ作り方や機械などは引き継がれておらず、同法人の職員がさまざまなつてをたどり、もなかを製造していた業者や残っていた型を探し出した。 味の決め手となる粒あんは、全国を放浪する菓子職人で「あんこの神様」とも呼ばれる小幡寿康さんに監修を依頼し、北海道産の小豆や特注の砂糖を使用した作り方を教わった。見た目は変わらず、懐かしながらも新しい「せめんだる」が完成した。 復刻に当たり、宇部市のヨシイ・デザインワークスがパッケージをデザイン。明治時代に旧小野田セメントのセメント袋に記されていたドラゴンマークや国の重要文化財の徳利(とっくり)窯を展開しており、「故郷の産業の礎を今に伝える銘菓に再構築した」という。 開発を担当した同法人総務部の越智和恵課長(47)は「せめんだるがなくなった時は一市民としてさみしさを感じていた」といい、「自信を持ってお届けできる商品になった。再び末永く愛されてほしい」と願う。 1箱10個入りで税込み1350円。14日に同市中央の複合施設「Aスクエア」のオープニングフェスタで先行販売し、19日から「安都佐」で通常販売する。営業時間は午前10時~午後3時。問い合わせは同店(電話0836・73・0118)へ。