病院を口コミサイトで探している人の「落とし穴」 後悔しない病院の選び方
2022年のがん死亡者数のなかで、大腸がんが原因だったケースは男性で2位、女性で1位となっています。 大腸がんは進行がとても遅く、また、肛門からの内視鏡(大腸カメラ)検査が可能なので発見しやすいがんです。早期発見・治療例ではその9割がほぼ完治しています。それなのに、なぜこんなにも死亡者数が多いのでしょうか? 原因のひとつとしては、大腸カメラ検査の受診率が低いことが挙げられます。大腸がん検査として最初に行われる便潜血検査はあくまで便中の潜血の検査であって、精密な大腸がん検査とは言えません。
便潜血検査は便中に血液がないかをまず調べるのですが、粘膜の隙間にいるおとなしいがんの場合は出血しないので、便潜血検査が陰性だからといって大腸がんの心配がないとは言い切れないのです。 反対に、陽性の反応が出たとしてもがんだとは言い切れないのが厄介です。便潜血検査は、浴槽に血を一滴垂らしても反応するくらい高い精度の検査で、がんではなく軽い痔による出血でも、陽性の結果が出てしまうのです。 医師としてもあまり患者さんに負担をかけたくないために、便潜血反応が陽性でも、もともと痔だという人には「痔のせいで出血の陽性反応が出たのかもしれないから、少し様子を見ましょうか」とお茶を濁し、結果的にがんを見逃すことがあるのです。
消化器科の専門医は、「大腸がんの進行は遅いし、早期発見なら9割は治るのだから、5年に一度でいいから内視鏡検査を受けてほしい」と口を酸っぱくして言っています。 A3. 便潜血検査では、大腸がんを見落とす可能性があるため、自覚症状がなくても5年に一度は大腸カメラ検査を受けましょう。
秋津 壽男 :日本内科学会認定総合内科専門医/秋津医院 院長