海外進出1号機を公開 YKK、黒部の展示館刷新 ファスナーの製造ライン再現
●「黒部で保存すべき」吉田相談役 富山県内に生産拠点を置くYKK(東京)は25日、黒部市の黒部事業所内に設ける産業観光施設「YKKセンターパーク」の展示館を一部リニューアルした。1959(昭和34)年に海外進出1号機としてインドへ輸出したファスナー製造機械を新たに展示し、製造ラインを再現した。現在は全自動化された製造設備の原点であり、創業以来引き継いできた自前で機械を開発する「一貫生産体制」のシンボルとしている。 一部リニューアルしたのは、グループの技術の歩みや歴史を紹介する「丸屋根展示館2号館」。ファスナー製造機械はインド・キャンガン社との技術提携工場向けに輸出された。2015年にコルカタ市内の倉庫でほぼ当時のままの状態で見つかり、黒部事業所で保管していた。 リニューアルは2号館の3分の1に当たる約240平方メートル。三つのゾーンを設け、ゾーン1では自動化や海外進出の歩みを取り上げた。ゾーン2は海外進出1号機を用いて生産ラインを再現し、海外赴任第1号となった元社員のインタビュー映像を視聴できるようにした。ゾーン3では、インドに続く海外での事業展開を紹介した。 吉田忠裕相談役は公開に合わせてコメントを出し「YKKと刻印された古い機械が残っていると一報を受けた時、グループの『技術の総本山』と位置付ける黒部事業所で保存すべきだと思った」と強調。「YKKにとって意義深い機械を社内だけでなく、一般の方にも見てもらえるようになるのを大変うれしく思う」とした。