けん銃?手にした男が押し入るも銀行員が冷静に対応、迅速逮捕に 時間稼ぎ裏口から客避難、容疑者の特徴記憶・・・まさに日頃の独自訓練の成果
日頃の備えが迅速な逮捕につながった―。岡山県津山市院庄の中国銀行院庄支店で9月24日に発生した強盗未遂事件。「訓練の積み重ねがあったからこそ冷静に対処できた」と語る行員たちに当時の対応を振り返ってもらった。 「金を出せ」。午前9時25分ごろ、容疑者の男(80)=威力業務妨害罪で起訴=がけん銃のようなものを手に押し入った。店内には行員15人と客9人。応対した林容子さん(62)は「事件に巻き込まれるなんて予想もしなかったが、状況をすぐにのみ込めた」。 要求を近くの同僚に伝え、男を刺激しないよう向き合い続けた。その間に行員は役割分担して対応。店内の非常通報ボタンを一斉に押し、現金を用意するふりをしながら時間を稼ぎ、客は裏口から避難させた。数分後に津山署員が駆けつけ、男を取り押さえた。 支店では通報や避難誘導など独自の防犯訓練を不定期に続け、8月に行ったばかりだった。「対応が染み付いていた。犯人の背丈や服装を観察する余裕もあった」と林さん。 脇本仁志支店長(53)は「他の支店と体験を共有し、防犯意識をさらに高めたい」と話す。10月10日に支店と林さんに感謝状を贈った安原卓志署長は「見事な連携だった」とたたえた。