亡き移民1世の日記や手帳、パスポート「失われる前に収集を」 世界の沖縄県人会が危機感 ウチナーンチュセンターシンポ
沖縄県が国内外の県系人と県民の交流拠点として2029年の完成を目指す「世界ウチナーンチュセンター（仮称）」の機能や課題を考えるシンポジウムが12日、那覇市の県立博物館・美術館であった。沖縄にある海外県人会や協会の代表者らが移民1世の資料保存やセンターの活用について意見を交わした。同センター設置支援委員会（WUC）の主催。 【写真】ドジャースのデーブ・ロバーツ監督の母、栄子さん。那覇市出身で、宮古島市伊良部にルーツがある 沖縄パンアメリカン連合会長で同委員会の大山盛稔共同代表は、移民1、2世はほぼ存命しておらず、このままでは日記や手帳、パスポートなどの貴重な資料が失われてしまう可能性があると危機感を示した。「資料を沖縄に取り寄せるなど早急な対応が必要だ」と訴えた。 ペルー沖縄県人会メンバーで県系3世の我那覇宗孝名桜大学客員教授もこれに同調。県系3、4世らは資料に書かれている日本語が読めないため捨ててしまうことがあると指摘した。沖縄ブラジルネットワークアミーゴの会の与那城昭広代表は「各県人会に資料を収集してもらい、次回のウチナーンチュ大会に持ってきてもらうのはどうか」と提案した。 沖縄ハワイ協会の嘉手苅孝夫会長、沖縄ニューカレドニア友好協会の仲村留美子前会長も登壇。センターに各県人会や協会それぞれの関係者が常駐するデスクやブース設置の提案など交流や連携の在り方についても議論した。この他、県交流推進課の仲村卓之課長も出席。同委員会の三木健共同代表がコーディネーターを務めた。 「資料収集に早めに動いて」「世界のウチナーンチュからも意見を聞くべきだ」など会場からも活発な意見が上がった。 （社会部・勝浦大輔）
