独クリスマス市襲撃事件、容疑者はサウジ出身「反イスラム思想」の男 犠牲者5人・200人超負傷
22日、ドイツのクリスマスマーケット襲撃事件の犠牲者を悼み、献花に訪れる人が後を絶たない。警察によると容疑者は殺人など複数の容疑がもたれている。ドイツ東部マクデブルクで20日、クリスマスマーケットに車が突っ込み、これまでに5人が死亡し200人以上が負傷した。 亡くなったのは、9歳の少年と女性4人。警察の声明によると容疑者は現在拘留されており、検察が殺人や重傷害の罪で起訴したという。 警察は容疑者の氏名を公表していないが、サウジアラビア出身の50歳男性で、過去に反イスラム的な発言を行っていたとしている。ドイツメディアはタレブ・A容疑者と伝えている。ドイツ在住約20年で、およそ3分間の犯行の直後、現場で逮捕された。 当局は21日、容疑者の動機は不明と発表。だが地元の検察官は、サウジアラビア難民に対する独政府の扱いに、容疑者が不満を募らせていた可能性があると述べた。 当初SNS上では、ベルリンのクリスマスマーケットを狙った2016年のトラック暴走事件との類似点を指摘する意見が目立った。16年の事件は、イスラム主義の影響を受けた移民による犯行だった。 だが今回の事件では、容疑者がイスラム教を批判し、極右に傾倒していたことが明らかになった。 ロイターが本人のものと検証済みの容疑者のXによると、容疑者は「ドイツのための選択肢」(AfD)を含む反イスラム極右政党を支持し、サウジアラビア難民の扱いについてドイツを批判していた。 サウジとドイツの当局者がロイターに語ったところによると、サウジアラビア当局はこの容疑者についてドイツ当局に警告していたという。 21日、極右のメンバーらがマクデブルクで「再移住」を求めるデモ行進を行った。これは、民族的にドイツ人と見なされない人々を追放しようとする、極右支持者の間で広まっている用語だ。 警察はデモ中に小競り合いがあったと発表した。移民をめぐる議論や、AfDの急激な人気上昇に揺れるドイツの政治的緊張を反映しているようだ。