虎のソナタ 私は力のないベテランですか…? 世のサラリーマンにも強烈に刺さる球児監督の言葉
ピヨピヨ記者時代に芸能担当を経験したことがある。ドラマの制作発表会見で火野正平さんを取材した。 「これが、あの元祖プレーボーイなのかぁ」 浮名を流すたびに大騒ぎとなり、その繰り返しで芸能マスコミを避けていた時代らしく、報道陣を射貫く目が怖かった(ように見えた)。至近距離で眺めて、渋さは伝わってきたものの〝偉大なるモテ男ぶり〟は人生経験が不足していた筆者にはとうてい理解できない。が、隣にいた他社の女性記者が異様に興奮していた。 「あぁ~ん、最高! 火野正平と目が合った」 もう、納得するしかなかった。 何十年も経て、イメージも変わって、自転車で全国を駆け巡るNHKBSの旅番組を楽しませてもらっていた。 高知県を訪れた回でのこと。阪神のキャンプ地・安芸の食堂で長らく働いていたおばちゃんが「正平しゃ~ん!」と叫びながら画面に乱入していた。何歳になっても〝モテ男〟はLOVEの対象だったようだ。 目が離せないイケオジ代表! 日本中のファンが残念がっていることだろう。ご冥福をお祈りします。 目が離せないFA戦線でも「LOVE」が炸裂(さくれつ)した。盟主・巨人のオーナーが、阪神・大山、ソフトバンク・甲斐ら獲得に動いている選手たちへ「来てくれる選手がいれば存分に活躍してほしい。幸せな野球人生を過ごしてほしい」と愛あるメッセージを送った。「評価を聞きたい」とFAしたら〝ラブコール〟。うらやましい限りだ。 対照的に、世の中には絶対に聞きたくない言葉もある。「力のないベテランは必要ない」。藤川監督が発した強烈なメッセージは、世のサラリーマンには、なかなかキツイ。一生懸命に働いて、会社からそんなことを言われたら…。プロの世界を見事に表現したワンフレーズだが、新監督は、相当に残酷だ。編集局の窓際で、細々と生き延びている筆者などは、上司からどう思われているのか? 私、力のないベテランですか? 万が一、「ハイ、そうです!」と言われたらショックは計り知れない。答えを知りたいようで、尋ねる勇気もない。