クマ出没警報 異例の越年 複数県が延長
冬眠期も油断大敵
熊の人身被害が相次ぐ中、12月に入っても目撃情報が相次ぐことを受け、複数県が地域住民に警戒を促す「出没警報」を来年1月末までの延長に踏み切った。年を越えて、本格的な冬眠期に入る1月に警報を続けるのは異例の事態だが、地域住民の安全の確保が必要だと判断した。 熊による人身被害者数が4~11月までで70人に上り、全都道府県中、最多の秋田県は、12月末までの予定だった「ツキノワグマ出没警報」を来年1月末までに延長する。 12月の目撃件数は79件。近年は10件未満で推移する中、今年は急増しており「1月も警戒が必要」(県自然保護課)として延長を決めた。警報の越年は初めて。 新潟県も「クマ出没特別警報」を1月末まで延長する。4~11月に10人の人身被害が出ていることに加え、12月の目撃・痕跡情報は52件と、調査を始めた2009年度以降、最多で推移している。 冬眠期が本格化しても熊が出没する恐れがあるとして、県は「警戒が必要な状況が続いている」(鳥獣被害対策支援センター)と指摘。20年度以来の警報越年を決めた。 両県とも被害防止に向けて、農地を含む地域のやぶ刈り払いや生ごみ、農作物残さの撤去を徹底するなどの対策を促している。