裏側矯正のメリット・デメリットを歯科医が解説 ワイヤー(表側)矯正やマウスピース矯正との違いとは?
裏側矯正のデメリット・リスク 食事や会話のしづらさはいつまで続く? 痛みはどのくらい?
編集部: 裏側矯正のデメリットを教えてください。 糟谷先生: 先述したように「費用が高い」というのがデメリットだと思います。ただ、裏側矯正でもう少し費用を抑えたい場合は、目立ちやすい上の歯だけ装置を裏側につける「ハーフリンガル矯正」を選択するのも方法の1つです。 下の歯は一般的なワイヤー矯正と同様に歯の表側に装置がつきますが、唇で隠れるためそれほど目立つ心配はありません。また、上下とも裏側に装着するよりは費用は安くなります。 編集部: 発音・会話はどうでしょうか? 歯の裏側に装置がつくと話しづらくなるイメージがあります。 糟谷先生: おっしゃる通り、装置をつけた直後はしばらく発音がしづらくなります。ただ、昔と比べると装置はかなり小さくなっているので、2~3週間程度で発音や会話も慣れてきます。 編集部: 食事のしづらさもそのうち慣れてきますか? 糟谷先生: 若い方は慣れるのが比較的早いように思います。大人の場合は多少時間がかかるものの、2か月ぐらいで慣れて問題なく食事ができるようになります。 編集部: 治療中の痛みはどうですか? 糟谷先生: かつては「痛みが強い」と言われていましたが、今は材料がすごく良くなってきているので表側矯正と痛みの程度は変わらないと思います。
裏側矯正vsマウスピース型矯正 「治療中の見た目」にこだわりたい場合はどちらがおすすめ?
編集部: 「治療中の見た目」が気になる方が選ぶ装置では、マウスピース型矯正も近年は人気があるようですが、こちらはいかがですか? 糟谷先生: 装置を完全に見えなくしたいなら、裏側矯正のほうが有利です。マウスピース型矯正も装置が透明なので表側矯正に比べると目立ちにくいのですが、完全に見えない・気づかれないというわけではありません。 周囲の人に気づかれずに矯正治療をしたい場合は、裏側矯正のほうがおすすめです。 編集部: そのほかに、裏側矯正とマウスピース型矯正で選び方の基準や目安があれば教えてください。 糟谷先生: 裏側矯正はあらゆる歯並びに対応できるのに対し、マウスピース型矯正は対応できる歯並びが限定されるので注意が必要です。 抜歯をせずに治せる軽いガタガタ(叢生)であればマウスピース型矯正でも問題なく治せますが、歯を抜いて治す重度の歯並びは裏側矯正のほうが仕上がりもよくキレイに治せます。 また、「口ゴボ」と呼ばれる口元の突出感を治したい場合も、裏側矯正のほうが出っ張りを確実に治せて、顔貌も整いやすいでしょう。 編集部: 最後に、読者へメッセージをお願いします。 糟谷先生: 裏側矯正は高度な知識や技術を要する治療法ですので、熟練した矯正歯科医のもとで治療を受けることをおすすめします。その目安として、日本矯正歯科学会の認定医の資格を持つ矯正医であれば安心でしょう。 矯正治療の装置は道具の1つに過ぎないので、その道具のメリットとデメリットを熟知し、それを患者さんにもきちんと説明できる歯科医をぜひ見つけてください。