大本命はやはり藤井聡太か。ついに決勝トーナメントが始まる第32期銀河戦の展望はいかに。
第32期銀河戦も本戦ブロックを終えて、決勝トーナメントが始まる。12人のパラマス式トーナメントにより、最多連勝者と最終勝ち残り者が決勝トーナメントに進むシステム上、実績十分のベテランから新人まで、今期もバラエティに富んだメンバーだ。持ち時間が短く、秒読みが30秒のスリリングな早指しは、観戦するのにピッタリである。 【写真を見る】前期優勝の丸山忠久銀河 注目はやはり藤井聡太竜王・名人だろう。初参加の第26期こそ本戦ブロックで敗退しているが、それ以降は決勝トーナメント進出を逃すことはなく、今期で6期連続だ。前期は決勝で敗れているが、今期も安定した勝ちっぷりで、優勝候補の本命だろう。すでに2度の優勝経験があり、今期は3回目の優勝を目指す。 前期優勝の丸山忠久銀河もしっかりと勝ち上がってきた。前期は銀河戦における最年長優勝記録を大きく更新。決勝で藤井を破っての初優勝は見事という他ない。先手でも後手でも角換わりを得意とするスペシャリストだ。 丸山と同学年では森内俊之九段、郷田真隆九段も勝ち上がっており、この世代は年を重ねても変わらぬ強さを見せている。当然ながらこの3人にはさらなる最年長優勝記録が掛かる。 伊藤匠叡王は今期も本戦ブロックで大暴れ。前期は8連勝で最終勝ち残り者となり、今期は4連勝で最多連勝者となった。まだ早指し棋戦で大きな結果は出ていないが、実力、若さの両方を備えており、いつ優勝してもおかしくはないだろう。 佐々木勇気八段は3期ぶりの決勝トーナメントだ。この2年ほどで飛躍を見せており、NHK杯戦では決勝で藤井を破り、初の全棋士参加棋戦優勝を果たした。もちろんこの銀河戦でも狙うは初優勝だろう。 森本才跳四段は銀河戦初参加ながら5連勝で最多連勝者として決勝トーナメント進出。オーソドックスな四間飛車を得意としており、振り飛車ファンの期待を集める。若手では狩山幹生四段も6連勝で勝ち上がってきた。入玉を得意とするユニークな棋風で、狩山ワールドと称される個性的な将棋で魅せる。若手にとって、最終勝ち残り者のトップ棋士と当たれる、銀河戦決勝トーナメントは楽しみな舞台だ。特に狩山の初戦は藤井であり、どこまで自分の世界に引き込めるか。 他にも豊島将之九段、阿久津主税八段など銀河戦でも優勝経験のある、豪華な顔ぶれが並んで行われる決勝トーナメント。藤井を止める棋士が現れるか、注目だ。 文=渡部壮大
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