【あ然】韓国総選挙で与党惨敗、「長ネギ」が壊しかねない日米韓の協力体制
■ チャーチルの箴言 英国を第2次世界大戦で勝利に導いたウインストン・チャーチル首相は、戦後の1947年11月11日、英国国会での議論の中で宣(のたも)うた。 「多くの政治体制が試みられてきた。そして罪深く悲哀に満ちたこの世界では、これからも試みられるだろう。そんな中で、民主主義が完全だとか、賢明であると見せかけることなど、誰にもできない。実際、民主主義は最悪の政治体制と言うことができる。ただし、これまで時代から時代へと試みられてきた他のすべての政治体制を除けばだが」 こうして戦後の西側の民主主義陣営が結束し、ソ連を中心とした社会主義陣営と、長い「冷戦」を戦った。1991年にソ連が崩壊し、民主主義陣営が勝利を謳歌したまま、21世紀に突入した。 21世紀には、社会主義陣営の中から中国が台頭したが、現在、世界中の国が模倣しているわけでは、決してない。つまり、「民主主義に代わる新たな世界の規範」とはなっていない。中国自身も、「中国の特色ある社会主義」と呼んでいる。 それでは、民主主義陣営の方はどうか。こちらも60カ国以上で大きな選挙が行われる「選挙イヤー」の2024年、だいぶ怪しいことになっている。様々な「民主主義の欠陥」が露呈しているからだ。
私見では、少なくとも二つの最も大きな欠陥を孕(はら)んでいる。一つは、「国内の小さなイシューによって国際社会が大きく左右される」というもの。もう一つは、「国家の分断が加速していく」というものだ。 ■ 民主主義の悪い面が露呈した韓国総選挙 4月10日に韓国で行われた総選挙は、まさにこうした欠陥を露呈させた。韓国は周知のように大統領制で、2022年5月10日に就任した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領にとって、5年の任期の2年を経る時に行われた今回の総選挙(4年に一度)は、「中間選挙」と言えた。 国会の300議席を与野党で争う総選挙で、内訳は、小選挙区254議席、比例代表46議席である。結果は、尹錫悦大統領率いる与党「国民の力」が108議席、李在明(イ・ジェミョン)元京畿道知事率いる最大野党「共に民主党」が175議席、曺国(チョ・グク)元法務長官率いる第2野党「祖国革新党」が12議席、「改革新党」3議席、「新しい未来」1議席、「進歩党」1議席である。 野党陣営が3分の2近くの議席を得たことで、任期を約3年残す尹錫悦政権はレームダックに陥るだろうと、一部韓国メディアは伝えた。