『虎に翼』の忘れられないベストシーンは? 珠玉の名場面(5)愛おしくも切ない…心を鷲掴みにした名キャラは?
伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』。本作は、昭和初期の男尊女卑に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士、そして判事になった人物の情熱あふれる姿を描く。9月27日に最終回を迎え、現在配信中のNHKプラスやNHKオンデマンドでは、歴代朝ドラで最高視聴率を樹立した。今回は、珠玉の神シーンを5つ紹介する。第5回。(文・あまのさき)
第8週 優三の出征
晴れて寅子との結婚が叶った優三(仲野太賀)。肝心な場面ではお腹を壊しがちな優三だが、寅子に向ける笑顔は格別に優しく、いつだって全肯定で寅子を受け入れる。絵に描いたみたいな幸せだ。子どもにも恵まれ、幸せな生活を送っていたところへ、赤紙が届く。 出征の前日、優三は寅子と河原へ出かけ、「後悔せず、心から人生をやりきってくれること」が望みだと伝える。 ついに出発の日。家族の見送りのあと、寅子は娘の優未を預けて優三の背中を追った。優三は重たい空気を払うべく寅子の真似をして変顔を見せるが、やっぱり寅子の渾身の変顔には敵わない。幸せが引き裂かれる運命を恨みながら、2人らしいやり方で別れを惜しむ様子が、愛おしくも切ない場面だった。 ちなみに、優三が寅子に伝えた望みが、優三亡き後の寅子を再起させるきっかけになるのも素晴らしかった。優しすぎて頼りなく見えていた優三が、実は誰よりも寅子を支えたわけだ。 戦後に公布される新憲法を体現していた優三というキャラクター、それを茶目っ気あり、感動ありで演じた仲野太賀に改めて拍手を送りたい。 (文・あまのさき)
あまのさき