<明秀旋風’22センバツ>/中 しぶとく「チーム一丸」 打撃意識、状況で切り替え /茨城
センバツ出場決定直後の記者会見で、甲子園での目標を問われた主将の石川ケニー(2年)はこう答えた。「チームの勝利が最優先です。一丸となって戦いたい」 ◇ 秋の公式戦10試合(80イニング)で96得点。1イニング平均1・2点という高い得点力の背景には14本塁打を放った長打力に加え、状況に応じたチームバッティングの意識がある。 チームの合言葉は「スリーフィンガー」。2ストライクまで追い込まれたら、バットを指3本分短く握ろうという呼びかけだ。三振を避け、何とかバットに当てればファウルで粘ったり、走者を進めたり、相手守備の乱れを誘ったりすることもある。 秋季関東大会決勝、山梨学院(山梨)戦でのことだ。2点差を追う二回裏1死、6番・佐藤光成(2年)は1―2と追い込まれたが、ここでバットを短く持ち替えて、4球目の変化球を軽く中前にはじき返した。 7番・小久保快栄(同)、8番・辻天成(同)、9番・伊藤和也(同)も追い込まれるとバットを短く持ち替え、単打で続いた。4連打で1点を返してなお満塁。1番・本坊匠(同)は3ボールから見逃しストライク、ファウル、ファウルと粘って7球目に同点の押し出し四球を選んだ。2ストライクからの各打者の攻撃意識の切り替えが光った。 金沢成奉監督は、チームの主力を担う2年生について「能力は高いのに自分勝手な、我の強い子が多かった。例えば石川はチームよりも自分のプレーにばかり一喜一憂していていた」と振り返る。 そこで「アウトのなり方にこだわれ」と言い含めた。試合展開やボールカウントを考え、場合によっては自分を殺してでも好機を広げる打撃を心がけろということだ。そんな意識が浸透し、しぶとく切れ目のない打線は生まれた。 冒頭の会見で「チーム一丸」と話した石川に、金沢監督は穏やかな視線を送った。「試合を重ねるごとに選手らは成長してくれた」